東証スタンダード市場上場のビットコイン財務企業メタプラネット(3350)は19日、ドイツ銀行トラスト・カンパニー・アメリカズを預託銀行とする「スポンサー付きレベルⅠ ADR(米国預託証券)プログラム」を設立したと発表した。米国東部時間19日より効力が発生し、米国店頭市場(OTC市場)でティッカー「MPJPY」として取引が開始される。
ADR(米国預託証券)とは、海外企業の株式を米国投資家が米国内の証券会社を通じてドル建てで取引できる仕組み。通常必要な日本の証券会社での口座開設などの複雑な手続きが不要になる。
米国機関投資家の投資ハードルを解消
同社は長期的な資本市場戦略の一環として本ADRを立ち上げた。直近数四半期にわたり、米国の投資家を中心に、同社株式へより効率的かつ直接的に投資したいという需要の高まりを確認してきたという。
現在、同社株式はOTC市場において「MTPLF」のシンボルで取引されているが、決済インフラや流動性の制約などにより、一部の投資家にとっては投資のハードルとなっていた。また、世界の機関投資家、特に資産運用会社や受託者責任を負う機関投資家においては、規制、保管体制、運用方針上の理由から、正式なADRの枠組みを通じた株式保有を選好、あるいは必須とするケースが多く見られる。
本ADRの導入により、同社はこうした課題を解消し、法令を遵守しつつ、運用面でも効率的な形で同社株式への投資を可能にする。
スポンサー付きADRで透明性向上
従来の「MTPLF」はスポンサー付きADRプログラムに基づくものではなく、同社が特定の預託銀行と正式な預託契約を締結していない状態だった。これに対し、今回のスポンサー付きADR(レベルⅠ)では、同社が正式に関与し、預託銀行との契約に基づく明確な枠組みが整備される。投資家に対する情報提供や事務取扱いの透明性が向上し、米国投資家にとってより利便性が高く、分かりやすい投資環境が整備される。
交換比率は1ADR=1株で、原株保管銀行は三菱UFJ銀行が担う。本ADRは資金調達を目的とするものではなく、同社が発行する普通株式および優先株式の発行済株式数に影響を与えない。
ビットコイン戦略との相乗効果に期待
メタプラネットは2024年4月から「ビットコイントレジャリー戦略」を本格的に開始し、2025年12月20日時点で約3.1万BTCを保有している。米国では暗号資産への関心が高く、マイクロストラテジー社などビットコイン投資を行う企業への投資ニーズも強い。
関連:メタプラネットのビットコイン保有量と株価|mNAV・購入履歴・損益推移
同社は12日に米国証券取引委員会(SEC)に対し、最大2億株のADS(米国預託株式)を登録する計画で、フォームF-6登録申請書を提出している。今回のADRプログラムが本格稼働すれば、米国市場でのアクセスを拡大することで、ビットコイン購入のための資金調達力をさらに強化し、保有ビットコインの積み増しを加速させる狙いがあると見られる。




