MANTRA、OMトークン92%暴落で対応策発表──CEO自らバーン実施へ

伊藤 将史
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CEXでの強制清算が原因と分析、インサイダー説は否定

RWA(Real-World Asset=現実資産)のトークン化に特化したL1ブロックチェーン「MANTRA(マントラ)」のプロジェクトチームは16日、ネイティブトークン「OM」が日本時間14日未明に記録した90%超の価格暴落を受け、トークン買い戻しとバーン(供給量焼却)などを含む今後の対応策について公式声明で発表した。

対応策の一つとして、ジョン・パトリック・マリンCEOは、自身のチーム割当分のトークンをバーンすると明言している。また、その他の供給分を対象とした「包括的なバーンプログラム」の策定にも取り組むと述べた。

価格暴落の経緯とMANTRA側の見解

OMトークンは、14日午前3:28(日本時間)頃から約1時間で価格が92%下落するという異常な市場変動に見舞われた。マントラチームはこの原因について調査を進めており、現時点での分析として「チームによるトークン売却は一切なかった」と強調。暴落直後からコミュニティの一部で上がっていた「チームによるインサイダー取引」の疑惑を否定した。

ロックされているチームおよびアドバイザー割当分には変動がなく、主に流通している旧ERC-20規格のOMトークンが今回の事態に関与したとしている。

※ OMの総供給量は18億1,000万OMで、旧ERC-20版と新しいメインネットOMで均等に分割されている。うち、現在は53%(9億6,961万OM)が流通。流通供給量のほぼすべて(92%)はERC-20トークンとなっている。

チーム側の分析によれば、取引量が少ない時間帯、具体的には14日午前3時頃に、中央集権型取引所(CEX)に担保として預けられていた大量のOMトークンが強制的にロスカットされたことが発端だという。この初期の売り圧力が価格下落を引き起こし、他のレバレッジポジションの連鎖的な自動清算を誘発。自己強化的な下落サイクルが発生し、価格が暴落したと説明している。

今後の対応方針と透明性強化策

こうした状況を受け、マントラは信頼回復と市場安定化に向けた具体的な行動計画を発表した。

  • バーンプログラムの導入: OMトークンの買い戻しと包括的なバーン計画を準備中。詳細は近日中に発表予定。
  • CEO自身によるバーン: マリンCEOは自身のチーム割当分トークンのバーンを即座に実行するとXで明言。
  • 取引所との連携強化: 暴落時の取引履歴に関するデータ提供や調査協力をCEX各社に要請。
  • ダッシュボードの公開: トークン配分と残高の可視化を目的としたリアルタイムダッシュボードの立ち上げを予告。

なお、執筆時点でも、OM価格は暴落以前と比べると約90%低い水準で推移している。

OMUSDT
出典:TradingView

今回の暴落原因が強制清算なのか、あるいはコミュニティが疑念を抱くような他の要因があったのかは依然として調査中だが、マントラはバーンプログラムを含む対応策によって事態の収拾と信頼回復を図る構えだ。真相究明とプロジェクトの透明性を高める今後の取り組みが注目される。

関連:OMトークンが数時間で93%暴落|MANTRA側は清算原因と主張、インサイダー疑惑も
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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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