衣料大手「マックハウス」、仮想通貨マイニング事業に参入

木本 隆義
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マイニング企業「ゼロフィールド」と協業、ビットコインの保有と採掘を両立

マイニングを主力とする企業の「ZEROFIELD(ゼロフィールド)」は7日、カジュアル衣料小売チェーンの「Mac-House(マックハウス)」と、暗号資産(仮想通貨)事業に関する包括的な協業を推進するための基本契約を締結したと発表した。

この提携は「服を売る企業が、今なぜデジタル世界の通貨を『掘る』事業に乗り出すのか?」という素朴な疑問を投げかける。だが、その背景には、綿密な計画と社会全体の大きな変化がある。

近年、仮想通貨市場は劇的な拡大局面を迎えている。アメリカでのビットコイン現物ETFの承認は、これまで懐疑的だった機関投資家を市場に呼び込む呼び水となった。日本国内でも税制の見直しや制度的な後押しが進み、異業種の企業が新たなビジネスチャンスを求めて参入する土壌が整いつつある。加えて、生成AI技術の爆発的な進化が、グローバルに流通するデジタル資産としての仮想通貨の価値を再定義し始めている。AIと仮想通貨が融合することで、国境を越えた巨大な経済圏が生まれようとしている、とゼロフィールドは分析する。

こうした潮流の中、マックハウスは中長期的な企業価値の向上を目指し、仮想通貨事業への進出を決断した。その戦略は、単に仮想通貨を市場で『保有』するだけでなく自ら『マイニング』も行うという、両利きの経営である。だが、マイニングは電力コストや専門機材、そして24時間体制での運用ノウハウが求められる専門領域である。そこで白羽の矢が立ったのが、この道のプロであるゼロフィールドだった。

ゼロフィールドは2017年の設立以来、仮想通貨マイニングを主力事業として展開してきた。国内外に持つ6つの拠点で、電力特性を活かした最適設計や、特許を取得した独自の管理システムを駆使し、高い収益性を実現してきた実績がある。電力コストの抑制や環境対応、遠隔での安定運用といった、マイニング事業者が直面する厄介な課題を解決してきたノウハウの蓄積こそが、同社の競争力の源泉である。

今回の契約に基づき、ゼロフィールドは自社の知見とインフラを惜しみなく提供する。具体的には、マイニング拠点の選定から構築、機器の選定・導入、さらには電力コストの最適化やESG(環境・社会・ガバナンス)への対応に至るまで、包括的な支援を行う。これにより、マックハウスが掲げる野心的な戦略の円滑な実行を後押しする構えだ。

はたして大手アパレル企業が仮想通貨事業で、懐疑派も黙らせるような成果を上げられるだろうか? この異業種連携の計画は、日本企業が仮想通貨ビジネスに取り組む際の重要なケーススタディとなるだろう。今後の成り行きに注目したい。

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リージョナルスペシャリスト(SEA)。仮想通貨歴は10年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。『月刊くたばれ経済学』『月刊くたばれMBA』編集長。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。来タイ13年。
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