新会計基準と最低法人税が「意図せぬ負担」に
米シンシア・ルミス上院議員とバーニー・モレノ上院議員は14日、スコット・ベッセント米財務長官に対し、暗号資産(仮想通貨)を保有する米国企業に課される可能性のある「意図せぬ税負担」の是正を求める書簡を送付したことを明らかにした。
ルミス上院議員は、仮想通貨の熱心な支持者であり、米議会における代表的なデジタル資産推進派の一人として知られている。
問題の背景には、2022年のインフレ抑制法によって導入された「CAMT(企業代替ミニマム税)」がある。これは、「調整後財務諸表所得(AFSI)」が過去3年間で平均10億ドル以上の企業に対し、15%の最低法人税を課すものだ。加えて、「FASB(財務会計基準審議会)」が発行した新しい会計基準は、企業が保有するデジタル資産について公正価値評価(市場価格での評価)を要求するようになった。
ルミス、モレノ両上院議員によると、このCAMTと新会計基準が組み合わさることで、デジタル資産を保有する企業は、まだ売却などによって実現していない利益(未実現利益)に対しても、15%のCAMTを支払わなければならない状況が生じているという。両議員は書簡の中で、「このような未実現利益への課税は、議会もFASBも意図したものではなく、税法の原則ではなく財務会計基準の変更によって生じた不公平な税負担である」と指摘している。
ルミス上院議員は自身のXアカウントで、「米国のデジタル金融における優位性が危険にさらされる。デジタル資産分野で世界をリードするためには、公平な競争条件が必要だ」と訴えた。
この問題に対処するため、両議員は財務省に対し、既存の法的権限を行使し、AFSIの定義を調整することで、適格企業の保有するデジタル資産から生じる未実現の利益と損失をAFSIの計算から除外するよう具体的に要請している。
トランプ政権下では、仮想通貨に対する規制・税制の見直しに前向きな姿勢が示されている。今回の具体的な税負担是正の要請も、米国における仮想通貨資産業界の発展に向けた重要な動きとして注目したい。
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