戦略的ビットコイン準備金を柱とした新たなデジタル資産政策が始動
シンシア・ルミス議員(ワイオミング州・共和党)は23日、米国上院で初めて暗号資産(仮想通貨)に特化した専門委員会が設立され、自身が初代委員長に就任することを発表した。
ルミス議員は声明で、「議会はデジタル資産の包括的な法的枠組みを確立し、戦略的ビットコイン準備金によって米ドルを強化する超党派の法案を早急に可決する必要がある」と強調した。また、「同僚たちがこの歴史的な小委員会の委員長に私を選んでくれたことに感謝し、今年中に超党派法案をトランプ大統領のもとに届け、我が国の金融の未来を確かなものにしたい」と意欲を示した。
シンシア・ルミス上院議員は、仮想通貨推進派の代表的な存在であり、戦略的ビットコイン準備金の提案や財務省への資産転換提案、仮想通貨小委員会の設立、さらにはFDIC(米連邦預金保険公社)への警告などを通じて、米国における仮想通貨の普及と規制整備に積極的に取り組んできた。
新設された委員会の目的と重点分野
今回設立された「上院銀行デジタル資産小委員会」は、仮想通貨を含むデジタル資産分野における政策を主導することを目的としている。特に以下の2つの分野に重点を置く。
- 責任あるイノベーションと消費者保護の推進
市場構造やステーブルコイン、戦略的ビットコイン準備金の導入を含む超党派法案を可決し、デジタル資産の発展と消費者の保護を両立させる。 - 連邦金融規制当局の監視強化
規制機関が法律を遵守し、公正なルールを確保するほか、30人以上のテクノロジーおよび仮想通貨の創業者が銀行サービスの利用を拒否された「チョークポイント2.0作戦」のような不当な事例の再発防止を目指す。
デジタル資産政策を巡る米国の課題
米国では、仮想通貨分野が急速に成長する一方で、規制の不透明さが業界の課題となっている。こうした中で、ルミス議員を中心とする新委員会は、規制の明確化と業界との協調を図る政策を推進する意向を示している。
上院銀行委員会のティム・スコット委員長も、「ブロックチェーン技術と仮想通貨は金融界を民主化する可能性を持つ。ルミス議員のリーダーシップの下、米国内でのイノベーションを促進する常識的な規制枠組みを推進することを期待している」と述べ、業界の発展と規制の両立に期待を寄せた。
期待と課題の両面を抱える政策運営
新委員会の設立は、米国が仮想通貨政策におけるリーダーシップを維持し、国際競争力を高める一歩と評価されている。一方で、規制の行き過ぎがイノベーションの停滞や企業の海外流出を招く懸念も指摘されており、その運営には慎重さが求められる。
ルミス議員が掲げる「超党派での早期法案成立」が実現すれば、仮想通貨分野における米国の地位は大きく向上する可能性がある。今後の進展に、国内外からの注目が集まっている。
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