イーサリアム創業者、ガス代先物市場を提案──将来手数料の変動リスクをヘッジ

JinaCoin編集部
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Highlights
  • イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が6日、将来のガス代変動リスクに対処する「オンチェーン・ガス先物市場」創設を提案
  • ユーザーからの「今は安くても2年後はどうなるのか」という懸念に対し、技術予測だけでなく市場原理を用いた解決策を提示
  • 先物市場により将来ガス代の予測可視化と前払いヘッジが可能になり、事業者やユーザーのコスト予見性が向上

イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は6日、将来のガス代(ネットワーク手数料)の変動リスクに対処するための仕組みとして、トラストレスな「オンチェーン・ガス先物市場」の創設が必要であるとの見解を示した。現在の低い手数料環境が将来も継続するかというユーザーの懸念に対し、技術的な予測だけでなく、市場原理を用いた解決策を提示した形だ。

「今は安いが2年後は?」 ユーザーの不安に答える具体策

ブテリン氏によると、現在はガス代が安価に推移しているものの、ユーザーからは「今は安くても、2年後はどうなるのか」という疑問の声が上がっているという。

同氏はこれまで、将来的な手数料の推移について、「BAL(Bytecode Alliance)」や「ePBS(Enshrined Proposer-Builder Separation)」、そして将来実装される「ZK-EVM」などの技術的進歩によりガスリミットが増加し、手数料は低く抑えられると説明してきた。しかし、こうした技術的な見通しに対し、ユーザーからは「本当に信じていいのか」という懐疑的な反応も見られるのが現状だ。

解決策としての「ガス先物市場」

こうした信頼のギャップを埋める手段として、ブテリン氏が提案したのが「オンチェーン・ガス先物市場」である。これは具体的には、イーサリアムの「Base Fee(基本手数料)」を対象とした予測市場のようなものを指す。

この市場が実現すれば、ユーザーは以下の2つのメリットを享受できると同氏は説明する。

  1. 市場予測の可視化:将来のガス代に対する人々の期待値や予測が明確なシグナルとして可視化されるため、ユーザーは客観的な指標を得ることができる。
  2. 将来価格のヘッジ(リスク回避):特定の期間における特定の量のガス代を実質的に「前払い」することが可能になる。これにより、将来的にガス代が高騰した場合のリスクをヘッジできるようになる。

ブテリン氏の提案は、技術的なスケーリングソリューションへの「信用」だけに頼るのではなく、金融市場の仕組みを利用してユーザー自身がリスク管理を行える環境の整備を意図していると言えるだろう。

開発ロードマップの成功に依存していた将来のコスト見通しは、ガス先物市場の導入によって金融商品でヘッジ可能になる。事業者やユーザーは将来のトランザクションコストを現時点で固定でき、長期的な事業計画や資金運用の予見性が向上する。これはエコシステムがより堅実な経済圏へ成熟する重要なステップとなる。

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