トークン移行は2025年5月末の予定
パブリックブロックチェーン「EOS(イオス)」は18日、「Vaulta(ヴォルタ)」へリブランディングし、包括的な暗号資産(仮想通貨)バンキングサービスの提供を目指す「Web3バンキング」へ転換することを発表した。このリブランディングは、従来の金融システムとWeb3技術を融合させ、仮想通貨の普及促進や誰もが平等にアクセスできる新たな金融プラットフォームの構築を目的としている。
ヴォルタは技術基盤として、従来の金融システムとのスムーズな統合を可能にするスマートコントラクトを実装。プラットフォームの中心にビットコインを据えており、これを活用した金融サービスの提供を目指している。また、高速かつ安全な分散型データストレージの提供や異なるブロックチェーン間の連携などを可能にすることで、多様な金融サービスの拡充を図る方針だ。
今回の発表によると、ヴォルタはWeb3バンキング市場でのシェア獲得を目指すために、「資金管理」「消費者決済」「ポートフォリオ投資」「保険」といった4つのエコシステムに注力していくという。
資金管理では、従来の金融とDeFi(分散型金融)を組み合わせ、安全かつ多様な資産運用の提供を可能にする。信頼性の高いカストディアンを通じ、高利回りサービスやビットコインによるステーキング戦略等が提供される予定だ。
消費者決済では、仮想通貨を日常の支払いに活用できるよう、高速かつ低コストな決済手段を整備。ビットコイン利回りを活用した決済サービスの拡充のほか、決済範囲拡充のためのパートナーシップ展開が予定されている。
また、ポートフォリオ投資では、RWA(現実資産)のトークン化による多様な投資機会を提供。さらに、保険では仮想通貨に特化した保険サービスを提供し、ユーザー資産の保護と回復などを支援するという。ヴォルタは上記の4つをエコシステムの柱とすることで、多くのユーザーが気軽にWeb3バンキングを使えるよう働きかけていく方針だ。
なお、イオス上のネイティブトークンEOSは今後、Vaultaトークンへの移行が予定されている。Vaultaトークンはステーキング報酬プログラムによる安定した利回り獲得や運営への意思決定のほか、独占的なリソースへのアクセス権限などが付与されるという利点を持つ。トークンの正式移行は2025年5月末を予定している。専用ポータルを通じて1:1の交換比率でスワップが可能とのことだが、4ヶ月の間はEOSと双方交換のスワップにも対応する予定だ。
ヴォルタの新たな船出は、仮想通貨業界が従来の金融システムとWeb3技術の融合をより重要視するきっかけとなった。新たな経済圏の創出はもちろん、グローバルな金融包括の実現化といった今後の展開に注目していきたい。
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