米テクノロジー企業モドヴェオン(Modveon)は29日、本人確認や地域情報、金融サービスをまとめたアプリ「Sivar」のエルサルバドル展開を発表した。対象となる米国在住者は、金額を問わず一律2ドルで同国の認証済み利用者へ送金できる。
Base上のステーブルコインで即時決済
モドヴェオンは、エルサルバドルの公的機関AABとの5年契約に基づき「Sivar」を開発・運営する。すでに2万5,000人超が参加した先行提供を経て同国での展開に至ったアプリだが、その核となるのがコインベースの技術を活用した即時送金機能だ。
具体的には、入金サービス「Coinbase Onramp」を通じ、デビットカードからの入金に対応。各利用者にはSivar内で自己管理型ウォレットが割り当てられ、送金はコインベースのAPIを通じて実行される仕組みだ。取引はBaseチェーン上のステーブルコインで決済され、受取人は国内1,000カ所超の拠点で現金化できるという。
発表によれば、2025年に海外からエルサルバドルへ送られた資金は約90億ドル(約1.4兆円)。約92%が米国からの送金で、受取世帯の国民は約160万人に達するという。一律2ドルという定額制は、送金額が大きいほど実質的な手数料率が下がるため、こうした受取世帯の負担軽減と送金の効率化をもたらす設計となっている。
モドヴェオンCEO兼共同創業者のナナ・ムルゲサン氏は、2万5,000人超が提供前の改善に参加したことに触れ、Sivarはまだ始まったばかりだと強調。Sivarをエルサルバドルの日常的なデジタルプラットフォームにすることを目指す考えを示した。Sivarでは今後、公共料金の支払いや店舗決済などへの機能拡張も計画されている。
公的IDと地域・金融機能を一体化
Sivarは送金に加え、公的IDや地域コミュニティ、政府情報などを一体化したアプリだ。
利用登録では、エルサルバドルの身分証明書「DUI」を公的ログイン基盤「login.gob.sv」経由で自然人登録機関(RNPN)の記録と照合し、本人確認する。Sivarを運営するモドヴェオン・エルサルバドルは、国家デジタル資産委員会(CNAD)にデジタル資産サービス提供者として登録され、本人確認やマネーロンダリング対策などの義務を負う。
認証後は、地域コミュニティへの参加や公式情報の閲覧、メッセージ、送金などを利用できるようになるという。
政府はウォレット運営計画を否定
Sivarの展開に伴い、一部海外メディアでは「政府がステーブルコイン主導の決済へ舵を切った」との報道がなされた。これに対し、エルサルバドルの国家ビットコイン局は30日、政府主体による暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインのウォレットを立ち上げ、運営する計画はないとX上で表明した。
同局は「Chivoウォレット」の民間事業者への売却をもってウォレット事業への政府の直接関与は終了したと強調。同投稿では、Sivarについて直接的な言及はなされていない。
今後は、Sivarの定額送金が既存の国際送金サービスに代わる選択肢として定着するかが焦点となる。利用が広がれば、公共料金や店舗決済への機能拡大を後押しする可能性も考えられそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.0円)



