DeFiのTVL、2025年Q3に過去最高の2,370億ドル到達──dAppsのユーザー活動は22%減

伊藤 将史
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分散型アプリケーション(DApps)情報プラットフォーム「DappRadar(ダップレーダー)」は9日、2025年第3四半期(7月〜9月)のdApps業界の動向に関する調査レポートを公開した。

DeFi・NFTが盛り上がり、AI・ソーシャルはブーム去る

レポートによると、DeFi(分散型金融)セクターのTVL(預かり資産)は目覚ましい成長を遂げ、過去最高額となる2,370億ドル(約36.2兆円)に達している。これは、暗号資産(仮想通貨)価格の上昇などを背景に、ステーブルコインおよび実世界資産(RWA)のトークン化への関心の高まりを反映したものだ。

チェーン別に見ると成長にはばらつきがある。イーサリアムは依然として1,190億ドル(約18.2兆円)のTVLで首位を維持しているものの、その額は前期比で4%減少。Solana(ソラナ)もミームコインの勢いが落ち着いた影響で33%の減少となった。一方で、BNB Chain(BNBチェーン)やHyperliquid(ハイパーリキッド)などはTVLを増加させている。

2025年第3四半期の主要ブロックチェーン別TVL(Total Value Locked)比較。イーサリアムが1,190億ドルで首位、ソラナは138億ドルに減少、ベースとアービトラムなどが大幅増。
主要チェーン別のTVL 出典:DappRadar

dAppsユーザー活動は停滞、ゲームがシェアトップに

TVLの力強い成長とは対照的に、dApps全体のユーザー活動は後退した。2025年第3四半期の日間ユニークアクティブウォレット(dUAW)の平均は1,870万となり、前期比で22.4%の減少となった。

2025年第1四半期から第3四半期までのdApps業界の日間アクティブウォレット数推移。ゲームが上昇し、ソーシャルとAI分野が大幅に減少。
dApps業界のユーザー活動推移(Q1〜Q3) 出典:DappRadar

特に、前期に市場を牽引したソーシャルdApps(前期比58%減)とAI関連dApps(前期比35%減)のユーザー離れが顕著だった。

その結果、セクター別の市場シェアにも大きな変化が見られた。ゲーム分野が25%のシェアを占めてトップとなり、NFT(18.5%)、DeFi(17.9%)が続く形となった。

2025年第2四半期と第3四半期におけるdApps業界の市場シェア比較。ゲームが25%で首位、NFTとDeFiが続き、AIとソーシャルが縮小。
dApps分野別シェアの変化(Q2→Q3) 出典:DappRadar

NFT市場、取引件数が2022年以来の最高を記録

NFT市場は、盛り上がりを見せている。第3四半期の取引件数は1,810万件に達し、2022年以来最高を記録。取引高も15.8億ドル(約2,412億円)を記録した。

ただし、この活況は新規ユーザーの流入によるものではない可能性が高いとダップレーダーは分析する。NFTを取引したウォレット数は前期比で28.6%の増加に留まったのに対し、取引件数は158%も増加しているためだ。これは、既存のユーザーが以前よりも積極的にNFTを取引していることを示している。

本レポートは、dApps市場の二面性を浮き彫りにしたものと言えそうだ。DeFiへの資本流入が継続しているが、一方でユーザーの活動は衰えている。今後のdApps業界の持続的な成長には、ユーザーが継続的に利用したいと思える、実用的なアプリケーションを提供できるかどうかが鍵となりそうだ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.72円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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