ETFへの資金流入と政府保有がビットコイン価格を押し上げる要因に
暗号資産(仮想通貨)取引所「Binance(バイナンス)」の元CEO、チャンポン・ジャオ(CZ)氏は6日に公開されたFAOKH RADIOのインタビュー動画内で、「現在の市場サイクルにおいてビットコインが50万ドル(約7,146万円)から100万ドル(約1.4億円)に達する可能性がある」との見解を示した。
CZ氏はビットコインの価格上昇を支える要因として、機関投資家による仮想通貨ETF(上場投資信託)への参入を挙げた。2024年に米国でビットコイン現物ETFの取引が開始されて以降、仮想通貨市場には機関投資家からの資金流入が拡大しており、市場にとって強い追い風となっている。
仮想通貨情報分析プラットフォーム「SoSoValue(ソソバリュー)」が提供するビットコイン現物ETFの資金フローを確認すると、2025年2月からは資金流出が目立っていたものの、4月中旬以降は資金流入の増加が顕著に。30日を除けば、17日以降は資金流出が確認されておらず、直近で機関投資家の動きが活発化してきている。

さらにCZ氏は、政府によるビットコイン保有が進んでいる点も価格を支持する要因であると強調している。
米ニューメキシコ州ロズウェル市は4月29日、自治体として初めて「戦略的ビットコイン準備金」の設立を発表。続く5月6日には、ニューハンプシャー州でも仮想通貨や貴金属への投資を州として認める法案が成立し、公的にビットコインを保有できる体制が整った。こうした流れは米国にとどまらず、各国にも広がりつつある。
インタビューではこのほか、「年末までに仮想通貨の時価総額がいくらになるか」という質問に対し、CZ氏は「サイクルの終わりまでに5兆ドル(約715兆円)に達する可能性がある」との見方を示した。仮想通貨データプロバイダーの「CoinGecko(コインゲッコー)」によると、仮想通貨全体の時価総額は5月4日時点で約3兆ドル(約429兆円)。2024年12月には4兆ドル(約572兆円)に迫る勢いを見せていたが、その後はやや失速している。

なお、CZ氏はインタビュー内で「CEOとしてバイナンスに戻ることはないと思う」と発言。自身が関与しなくてもバイナンスの運営が順調に進んでいると説明した。ただし、現在も株主としての立場から利益を得ていることを明かしており、バイナンスから完全に離れるわけではない姿勢を見せている。仮想通貨業界の先駆者として知られるCZ氏の予測は、今後の仮想通貨市場トレンドを見通すうえで重要な指標になりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.05円)