暗号資産(仮想通貨)取引所Bybit(バイビット)は10日、暗号資産リサーチ企業DLリサーチと共同で「世界暗号資産ランキングレポート2025」を公開した。このレポートの中で、アジアの金融ハブであるシンガポールが米国を僅差で抑え、総合スコア7.45で暗号資産採用国として首位の座に輝いた。
上位国は制度整備が充実、新興国も取引利用度で健闘
このランキングでは、ユーザー浸透度や取引利用頻度、制度的準備や文化的な浸透度という4つの柱が複合的に加味されている。シンガポールはこのすべてにおいて高い成績を収めており、特に規制の明確さや強固な制度的インフラが評価された。その一方、既存の金融システムが効率的であることから、暗号資産利用が機関投資家や開発者に偏りやすい点が弱点として示されている。
シンガポールに続き、米国が総合スコア7.33で2位にランクイン。3位はリトアニアで、スコアは6.70。なお、日本は総合スコア3.44で47位に位置しており、主要国に対して遅れが目立つ状況となっている。
なお、レポート内では暗号資産の採用が経済規模とは必ずしも一致しないことが示されている。たとえば、「取引利用度」という面では、ウクライナやナイジェリアといった新興国が高いスコアを獲得している。この結果は、暗号資産が不安定な金融環境や高い送金コストといった問題を補う実用的な手段として使われている状況を示唆するものだ。新興国においても、必要性があれば暗号資産採用が進むという傾向が浮き彫りとなっている。
統合か規制か、政策の分岐点 ステーブルコインなど実用化も進む
またレポートでは、2026年に向けて各国政府が暗号資産の「統合」と「規制」という2つの明確な政策の岐路に立たされている点が指摘された。統合を選んだ国々はイノベーションと資本の流れを引き寄せる一方、規制の道を選ぶ国々は活動が監視の及ばない「影の経済」に追いやられ、税収や競争力獲得の機会を失うと分析されている。
さらに、今後の重要トレンドとして、現地通貨建てステーブルコインの台頭や現実資産(RWA)のトークン化、暗号資産による給与支払いの拡大がレポート内で挙げられている。これらは暗号資産が既存の投資対象から、グローバルな商業インフラの中核へと進化している現状を裏付ける要素となるだろう。
首位のシンガポールが示すように、規制の明確さと制度整備は国際競争力の鍵と言えるだろう。同国が機関投資家主導の優位性をどう一般利用へ広げるかはもちろん、他の金融ハブが同国に追随できるのか、今後の展開にも目が離せそうにない。
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