オーストリア当局がライセンスを発行、ウィーンに欧州本社を設立
大手暗号資産(仮想通貨)取引所の「Bybit(バイビット)」は29日、オーストリア金融市場庁(FMA)から「Markets in Crypto-Assets Regulation(MiCAR)」ライセンスを取得したと発表した。これにより、バイビットはヨーロッパ経済領域(EEA)29か国の約5億人に対し、規制に準拠した仮想通貨サービスを提供できるようになる。
MiCARは、EU域内で暗号資産関連事業を行う企業に対して、透明性の確保、不正行為の防止、消費者保護を柱とした厳格なルールを課す規制制度である。2024年以降、段階的に施行が始まっており、欧州市場でのビジネス展開には対応が不可欠とされている。
ライセンス取得に伴い、バイビットはオーストリアの首都ウィーンに欧州本社を新たに設立。今後はこの拠点を中核とし、各国におけるローカライズされたサービスの提供を本格化させる方針だ。
バイビットの共同創業者兼CEO、ベン・チョウ氏は「オーストリアでMiCARライセンスを取得できたことは、当社の“コンプライアンス重視”の姿勢を示す重要な成果です」とコメント。「ユーザーが安心して当社の革新的なプラットフォームを利用できるよう、今後も各国の規制当局と協力しながら、ライセンス取得を積極的に進めていきます」と語った。
欧州事業の強化に向け、バイビットはウィーンで100人以上の専門人材を新規に採用する計画を明らかにしている。バイビット欧州CEOのマズルカ・ゼン氏は、「ウィーンはバイビットの欧州における新たな拠点です。革新と人材への投資を通じて、オーストリアの先進的な金融環境に貢献したい」と述べた。また、同社は地域の大学と連携し、次世代のブロックチェーン人材育成にも取り組む方針である。
MiCAR制度の施行に向けた準備が進む中、バイビットのような主要企業が先行してライセンスを取得する動きは、業界全体の信頼性向上に貢献するものとみられる。今後はコンプライアンスとイノベーションの両立が、欧州市場での競争力を左右する重要な要素となるだろう。
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