AI・Web3・規制対応──三位一体の戦略とは?
大手暗号資産(仮想通貨)取引所「Bybit(バイビット)」は9日、登録ユーザー数が7,000万人を突破したと発表した。この節目は、個人投資家から機関投資家まで幅広い層からの信頼と支持を背景とするもので、バイビットのグローバル市場での存在感の高まりと、持続的な成長を裏付けるものとなっている。
同社の共同創業者兼CEOであるベン・チョウ(Ben Zhou)氏は、「7,000万人という数字は単なる統計ではなく、グローバルコミュニティが私たちに寄せる信頼の証です」と語り、「すべてのユーザーが自信を持って次世代金融にアクセスできるよう、コンプライアンス、機関投資家向けインフラ、ユーザー中心のイノベーションをさらに強化していきます」と強調した。
バイビットは、世界各国の規制当局との連携を深めながら、グローバルなコンプライアンス体制を強化している。直近ではベトナム財務省との戦略的対話を実施し、KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)、国際的ベストプラクティスに関する専門知識を共有。これは同国の規制サンドボックス制度の支援の一環として行われた。
さらにアラブ首長国連邦(UAE)をはじめとする主要法域でも重要な進展を見せており、規制順守と業務の透明性強化に注力している。
また、バイビットは機関投資家の利用拡大にも注力しており、その背景には高性能な取引インフラ、洗練されたリスク管理体制、戦略的パートナーシップの構築がある。特に、機関投資家向けのカストディおよびオフバランス決済ソリューションを提供する「Zodia Custody(ゾディア・カストディ)」との統合は、バイビットがより堅牢かつ規制対応したサービスを追求していることを明確に示している。
Web3分野でも、Bybitは「実用性のある革新」を推進している。「バイビット・カード」はすでに約200万人が利用しており、日常的な仮想通貨決済を可能にする一方で、「バイビット・ペイ」はオンチェーン・オフチェーンの両方に対応した取引手段として、ユーザーと加盟店双方に利便性を提供している。
さらに、AI技術の積極的導入も特徴的だ。社内開発のAI分析ツール「CryptoLensクリプトレンズ)」は、トークンのファンダメンタルズ、コミュニティ動向、ソーシャルトレンド、トークノミクスを可視化し、未上場プロジェクトに関しても分析可能。また、「TradeGPT」はBybit独自データを学習したAIエージェントで、価格動向の要約やテクニカル分析をリアルタイムに提供。さらにAIサポートエージェントの導入により、カスタマーサポートの迅速化とUX向上も実現している。
ベン・チョウ氏は最後に、「私たちは次の時代の金融インフラを築いています。規制との連携、プロフェッショナリズム、そしてユーザー中心の姿勢を貫くことで、誰にとっても安全で包括的かつ力強い金融の未来を切り拓いていきます」と語った。
仮想通貨取引所が今後、金融インフラの一部として社会に受け入れられるためには、単なる技術力だけでなく、各国の制度や規制との整合性を取る姿勢が問われる。バイビットのように、両面でのバランスを図る取り組みは、業界の健全かつ持続的な発展を後押しするだろう。