1,000 BTC以上を保有する上場企業の株式に投資
暗号資産(仮想通貨)運用会社「Bitwise Asset Management(ビットワイズ・アセット・マネジメント)」は11日、ビットコイン(BTC)を大量に保有する上場企業の株式に投資する新ETF「Bitwise Bitcoin Standard Corporations ETF(ティッカー:OWNB)」をNYSE Arca市場でローンチした。
本ETFは、企業の株式を通じてビットコインにエクスポージャーを得る方式であり、1,000 BTC以上を保有する企業の株式に投資するしくみである。ビットコイン現物ETFを組成するには依然として規制上のハードルが高いとされるが、株式投資の形態ならば当局の承認を得やすいと見た構図である。ビットコイン関連ETFの選択肢は、またしても拡張したといえる。
最大の組入比率を誇るのは、「Strategy(ストラテジー、旧マイクロストラテジー)」。同社は499,096 BTCを保有しており、その株価はビットコイン相場とほぼ連動する。OWNBの中でも象徴的な存在であり、ETF全体の22.26%を占める。
OWNBには仮想通貨マイニング大手の「MARA(マラ)」、「CleanSpark(クリーンスパーク)」、「Riot Platforms(ライオットプラットフォーム)」といった企業も組み込まれている。彼らはビットコインを常時保有する構造上、バランスシートにビットコインを積み上げる傾向が強い。
また、本業が別にありながらビットコインを保有する企業として「Tesla(テスラ)」、「Block(ブロック、旧Square)」、「Coinbase(コインベース)」なども組みこまれている。ただし、保有量が企業価値全体の3分の1未満の大規模企業はウェイトが1.5%に固定されるため、影響力は限定的となる。このルールにより、特定企業への偏りを抑え、ETFとしての分散効果を高める設計になっている。
特に注目されるのは日本企業「Metaplanet(メタプラネット)」の動向である。同社は世界的に見ても積極的にビットコインを買い増しており、本日12日も162 BTCを追加購入し、総保有量が3,050 BTCに達したと発表した。OWNBの上位10銘柄の一つとして組み込まれており、ETFの買い需要が株価の追い風となる可能性がある。
OWNBはビットコインそのものではなく、ビットコインを大量に保有する企業株に投資するため、SECの認可を比較的スムーズに取得できた。2025年に入り、SECはイーサリアムやソラナ、ライトコインなど、他の仮想通貨に関連するETFの審査を進めており、規制当局の姿勢は以前より軟化しているともいわれる。かつて「ビットコインETFなど認められるか」といった厳しい構えが一変し、時代の流れの速さを感じさせる。
ビットコインをバランスシートに組み込む企業には、株価高騰の事例もある。「KULR Technology Group(クーラー・テクノロジー・グループ)」が2024年12月に217.18 BTCを購入した直後には株価が43%急騰した。OWNBの登場によって「ビットコインを買う企業」を一括で投資対象にできるため、さらなるビットコイン保有企業の増加を誘発する可能性もある。企業側から見ればETF組入による知名度向上や株価サポートの期待も大きい。
OWNBはビットコインを大量に保有している企業を丸ごと買えるETFとして、規制緩和と市場ニーズの合流点に生まれた。これを機にビットコイン保有会社が一段と増えれば、株式市場との関係もいっそう強まるだろう。
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