年商300億円以上の企業の52.2%がビットコインを保有──大企業ほど保有率高

木本 隆義
13 Min Read

暗号資産(仮想通貨)レンディングサービス「BitLending(ビットレンディング)」を運営する「株式会社J-CAM」は21日、年商1億円以上の企業経営者1,003人を対象に実施した「法人によるビットコイン保有と運用意向」に関する調査結果を発表した。

ビットコイン導入の最大の障壁は「社内合意形成」

同社の調査によれば、低金利が続く現代において、多くの企業がインフレによる現金価値の目減り(41.5%)や、預金では資産が増えない現状(40.3%)に強い懸念を抱いている実態が浮き彫りとなった。

かかる状況下で、新たな資産の避難先として、あるいは戦略的な投資対象として仮想通貨に白羽の矢が立ったとしても、なんら不思議はない。調査結果は、その動きが単なる憶測ではなく、すでに抗いがたい潮流となっていることを示している。

驚くべきことに、年商300億円以上の企業においては、実に52.2%がすでにビットコインを保有していると回答した。これは、大企業の半数以上が、その是非はともかく、仮想通貨を自社のポートフォリオに組み込んでいるという動かぬ証拠である。この割合は、年商規模が大きくなるにつれて明確に上昇する傾向にあり、年商50億円以上の企業でも4割を超える企業が保有済みだ。どうやら、体力のある大企業ほど、仮想通貨の潜在的な価値を見出し、リスクを取って導入しているようだ。

自社でビットコインを保有、もしくは保有を検討しているか?

では、保有企業は一体どのような効果を実感しているのか。ビットコインを保有する企業が挙げた最も多い理由は「資産の分散投資として有効」であり、44.8%にのぼった。そして、実際に得られた効果として最多だったのは「ポートフォリオの最適化ができた」(45.1%)であった。次いで「資産価値の上昇による利益」(43.3%)、「インフレ対策としての効果」(42.0%)と続く。つまり、導入前に期待した通りの効果を、多くの企業が実感しているのである。これは、仮想通貨投資が単なる投機ではなく、計算された財務戦略として機能していることを示唆している。

実際に自社でのビットコインの保有および資産運用によって得られた効果

すべての企業がこの流れに身を任せているわけではない。ビットコインを保有していない企業にその理由を尋ねると、62.6%が「価格が不安定でリスクが高い」ことを挙げた。価格変動は確かに仮想通貨の宿命であり、経営判断を躊躇させる最大の要因であることは間違いない。

自社でビットコインを保有するつもりがない理由/自社でのビットコインの保有および資産運用が有益だと考える理由

だが、興味深いのは、導入における課題として「リスクに対する社内合意形成」(38.3%)が、「信頼できるサポート事業者の不在」(32.2%)などと並んで上位に挙げられた点だ。これは、問題が仮想通貨そのものの性質にあるだけでなく、むしろ日本企業特有の旧態依然とした意思決定プロセスや、変化を許容しない組織風土に根差している可能性を示している。外部の専門家不足もさることながら、内部の「反対勢力」こそが最大の障壁、というわけだ。

実際に導入・保有するにあたって感じる課題や障壁は?/ビットコインを継続的に安心して保有・運用していくために望ましいサービス

結局のところ、今回の調査が明らかにしたのは、資産運用における「格差」ともいえる現実である。一部の先進的な大企業が仮想通貨を駆使して資産を最適化し、利益を上げる一方で、多くの企業はリスクを恐れ、あるいは社内調整に手間取り、その好機を指をくわえて眺めている。企業が今後求める支援として「利回りを得られる運用サービス」や「担保融資」が挙がっていることからも、単なる保有に留まらない、より積極的な活用への渇望がうかがえる。仮想通貨を巡る企業の動向は、単なる財務戦略の違いに留まらず、変化の時代に適応できるか否かを映し出す鏡となっている。

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リージョナルスペシャリスト(SEA)。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。『月刊くたばれ経済学』『月刊くたばれMBA』編集長。著書『マウンティングの経済学』ほか。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。来タイ13年。仕事のご依頼はツイッターにて。 ツイッター:@t_kimoto
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