暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは5日、ハッキングによる流出で影響を受けた額の約98%を補填したと公表した。4日0時(UTC)に取った準備金証明(Proof of Reserves)の新しいスナップショットは44銘柄が対象で、前回の10月31日分の10銘柄から広がった。流出前の10月1日分は55銘柄で、そのうち11銘柄は今回も含まれていない。補填の割合は、10月31日早朝(日本時間)の報告の約80%から段階的に上がってきた。
バイナンスの補填、約80%から約98%に
同社は5日0時23分(日本時間)、公式サイトに7回目となる報告(Recovery Update #7)を掲載した。影響を受けた額の約98%を補填し、残りのトークンを市場と相対取引(OTC)で買い続けているという。
残る2%は流動性の低いトークンで、買い付けには時間がかかる見込みだ。どの銘柄が残っているかは示していない。
損失は利用者ではなく同社が負担する方針も改めて示した。損失を埋めるのに必要な資金の100%超を、自社の資金からすでに確保しているとしている。
| 報告(掲載、日本時間) | 補填の割合 | 残りについての説明 |
|---|---|---|
| 2回目(10月31日4時33分) | 約80% | 確保した資金でカバーした割合として示した。残りの銘柄を市場とOTCで購入中 |
| 3回目(10月31日23時24分) | 約90% | 上位10銘柄は100%裏付け。残り10%はそれ以外の流動性の低いトークン |
| 4回目(11月1日13時8分) | 約95% | 残り5%は上位10銘柄以外の流動性の低いトークン |
| 5回目(11月2日21時45分) | 約95% | 4回目の数字を再掲 |
| 7回目(11月5日0時23分) | 約98% | 残り2%は流動性が低く、買い付けは遅くなる見込み |
3回目の報告では、補填に充てる資金として、利用者保護のための基金Secure Asset Fund for Users(SAFU)の一部(24時間以内に投入する予定としていた)、先物の保険基金の一部、自社の資金を挙げていた。7回目の報告は資金の内訳に触れていない。
流出の経路は、既報のバイナンスの初期調査報告で示されている。
バイナンスの準備金証明、44銘柄に広がるも11銘柄は対象外
同社の準備金証明のサイトによると、4日0時(UTC、日本時間同日9時)のスナップショットは、10月31日分の10銘柄に、ドージコイン(DOGE)
DOGE、トロン(TRX)
TRX、チェーンリンク(LINK)
LINKなど34銘柄を加えた44銘柄が対象だ。比率はいずれも100%以上だった。
一方で、流出前の10月1日分にあった55銘柄のうち11銘柄は、今回の44銘柄には含まれなかった。同社は、対象から外れた理由を説明していない。
| 区分 | 銘柄 |
|---|---|
| 10月31日分から続く10銘柄 | BTC、ETH、USDT、BNB、SOL、USDC、XRP、USD1、ZEC、RLUSD |
| 4日分で加わった34銘柄 | U、DOGE、TRX、LINK、NEAR、SUI、PEPE、LTC、ASTER、ENA、USDE、FDUSD、SHIB、BCH、CAKE、WLFI、XLM、HBAR、WLD、DOT、TRUMP、PUMP、POL、APT、PENDLE、S、OP、FORM、WIF、CHZ、TUSD、ENJ、SSV、CHR |
| 10月1日分にあり、4日分にない11銘柄 | UNI、PAXG、AAVE、ARB、CRV、BOME、GRT、1INCH、MASK、BUSD、HFT |
3つのスナップショットを並べると、次のとおりだ。比率は、サイトのOnchain Wallet Balance(第三者による保管分を含む)をNet Account Balances(利用者の純残高)で割った値に当たる。
| 項目 | 10月1日分(流出前) | 10月31日分 | 11月4日分 |
|---|---|---|---|
| 対象の銘柄 | 55 | 10 | 44 |
| 比率が100%未満の銘柄 | なし | なし | なし |
| マークルルートのハッシュ | 表示あり | 表示あり | In Progress(処理中) |
| ゼロ知識証明の生成の見込み | ― | 約40〜50時間 | 約50〜60時間 |
同社によると、ゼロ知識証明の生成には約50〜60時間かかる見込みだ。発表文は起点を示していないが、JinaCoinが掲載時刻から計算すると7日2時〜12時ごろ(日本時間)になる。証明ができれば、44銘柄のいずれかを持つ利用者は、自分の残高が1対1以上で裏付けられているかを自分で確かめられるという。
2日の5回目の報告では、4日分の証明の生成を約40〜50時間と見込んでいた。前回の10月31日分は、2日21時45分(日本時間)に証明の生成完了を公表した(バイナンスの準備金証明)。
バイナンスの出金再開、国内は17銘柄で出庫を全面再開
出金について、7回目の報告は段階的な再開を続けるとだけ記し、新たに再開するネットワークや銘柄は示していない。3日の6回目の報告では、出金の第2段階を同日4時(UTC、日本時間13時)から始めるとしていた。
国内のBinance Japan株式会社(バイナンスジャパン)は3日17時(日本時間)のお知らせで、同日16時(日本時間)時点の状況を公表した。暗号資産の出庫は、ビットコイン(BTC)
BTCやイーサリアム(ETH)
ETH、DOGEなど17銘柄が全面的な再開となった。
5銘柄は扱う複数のチェーンのうち一部だけで再開し、43銘柄は再開していない。2日16時(同)時点では、全面再開が8銘柄、一部再開が3銘柄、未再開が54銘柄だった。
入庫(本件と関係なく以前から止まっている3銘柄を除く)と取引、法定通貨の入出金は通常どおりで、顧客資産への影響は確認されていないという。
金融庁は2021年6月には、無登録で暗号資産交換業を行う者として、海外のバイナンスを運営するBinance Holdings Limitedに警告書を出した(金融庁が警告した無登録業者の一覧)。国内の登録業者であるバイナンスジャパンとは別の会社だ。
金融庁の警告無登録業者
Binance Holdings Limited警告2回
- 警告書の掲載
- 2018年3月、2021年6月
- 所在地(当時)
- 不明(海外)
掲載内容は、金融庁が警告書を出した時点のもの。現在も同じ状況であることを示すものではありません。
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