仏銀行から約178億円、仮想通貨に換えて流出──パリ検察が捜査

仏銀行から約178億円、仮想通貨に換えて流出──パリ検察が捜査
水澤 誉往
4 Min Read
Highlights
  • 仏銀行クレディ・ミュチュエル・アルケアが4日、サイバー攻撃による不正な取引を公表。影響額は暫定で約1億ユーロ(約178億円)
  • 攻撃者は同行自身の口座からほかの金融機関へ送金し、専門のプラットフォームで暗号資産に交換。資金の一部は差し止め済み
  • オンチェーン調査者のZachXBT氏は、被害先とされる同行の流出を1億3,300万ドル超(約210億円)と集計。パリ検察は告訴を受けて捜査を開始

フランスの銀行Crédit Mutuel Arkéa(クレディ・ミュチュエル・アルケア)は現地時間4日、外部からの攻撃を受け、不正な取引が行われたと発表した。AFP通信によると、同行は声明で影響額を暫定で約1億ユーロ(約178億円)とし、攻撃者が同行自身の口座からほかの金融機関へ送金したうえで、専門のプラットフォームを通じて暗号資産(仮想通貨)に換えたと説明した。顧客の資産に影響はないという。パリ検察は同行の告訴を受け、捜査を始めた。

アルケア、自行の口座から送金され暗号資産に

同行の4日の発表によると、攻撃を検知した時点で監督当局などに報告し、新たな不正を防ぐため一部の取引を一時的に止めた。事態はすでに収束し、取引は同日午前に順次再開を進めているという。AFP通信によると、ほぼすべての取引が午前中に再開した。

顧客への影響は、一部の振り込みの実行が遅れたことだけだとしている。仏公共放送franceinfoによると、同行のアプリは数時間にわたって使えなかった。

AFP通信によると、同行は声明で攻撃者の経路を説明した。攻撃者は同グループの地域連合会や子会社の顧客口座は使わず、同行の委託先の1社のプラットフォームを経由して、同行に直接たどり着いたという。同行は社内の人為的なミスを否定し、外部からの高度な攻撃だと説明した。

資金の一部は差し止めることができ、回収に向けたほかの対応も進めているという。

影響額は引き続き算定中で、グループの財務の健全性を損なう規模ではないとしている。AFP通信によると、同行は、仏紙ル・テレグラムが報じた1億3,300万ドル(約210億円)という額は確認しなかったが、規模感は認めた。

同行は仏北西部ブレスト近郊に本拠を置き、2026年上半期の純利益は2億3,000万ユーロ(約409億円)だった。

同行は、今回の攻撃を受けてフィッシングの試みが起こり得るとして、顧客に注意を呼びかけている。

パリ検察が捜査、ZachXBT氏は1億3,300万ドル超と集計

AFP通信によると、パリ検察のサイバー犯罪部門は現地時間4日朝に同行から告訴を受け、直ちに捜査を始めた。容疑は組織的な集団による自動データ処理システムへの侵害で、捜査は仏の捜査機関であるサイバー犯罪対策局(OFAC。米財務省の制裁当局とは別)が担う。

同行の発表に先立ち、オンチェーン調査者のZachXBT氏は2日、自身のテレグラムで、欧州連合(EU)域内の組織が1日に複数の暗号資産取引所の口座から1億600万ドル超(約167億円)を失った疑いがあると注意を呼びかけた。盗まれたとみられる資金は、不正な行為者がUSDCUSDCUSDCとUSDTUSDTUSDTで引き出したという。

同氏によると、行為者はそれまでの24時間で、USDCをイーサリアムETHETHに換え、即時交換サービスへの送金や、モネロ(XMR)XMRXMRへの交換、複数のチェーンへのブリッジを盛んに行っていた。

同氏は、行為者は特定できていないとしたうえで、資金洗浄の複数の特徴から、北朝鮮のハッカー集団ラザルス・グループではないと高い確度で言えるとの見方を示した。

3日には、取引所からの出金を2,700万ドル超(約43億円)追加で見つけたとして、被害の合計を1億3,300万ドル超(約210億円)に引き上げた。出金の一部は最初の注意喚起の後に行われたという。

4日には、被害を受けたEUの金融機関はアルケアだとされると明らかにした。同氏は、攻撃は数日にわたったとしたうえで、店頭取引(OTC)を含めれば被害額はさらに大きいとみている。

日時出来事
11月1日(ZachXBT氏の投稿による)ZachXBT氏によると、複数の取引所の口座から資金が引き出される
11月2日21時28分(日本時間)ZachXBT氏が、EU域内の組織が1億600万ドル超(約167億円)を失った疑いがあると注意喚起
11月3日16時31分(日本時間)ZachXBT氏が被害の合計を1億3,300万ドル超(約210億円)に引き上げ
11月4日11時24分(日本時間)ZachXBT氏が、被害先はアルケアだとされると公表
11月4日(現地時間)アルケアが攻撃を公表。パリ検察が告訴を受けて捜査を開始
11月5日5時50分(日本時間)AFP通信が、アルケアは声明で影響額を暫定で約1億ユーロ(約178億円)と説明したと報道
アルケアの事件をめぐる経緯 出典:ZachXBT氏のテレグラム、アルケアの発表、AFP通信の報道をもとに作成(日本時間はUTC・パリ時間から換算。パリ時間は日本時間より8時間遅い)

同氏が2日と3日に盗難に関わるとして公表した15のアドレスについて、イーサリアム上の残高をJinaCoinが確認したところ、5日12時21分(日本時間)時点のUSDCとUSDTの残高は、公式のコントラクトで集計すると合計約3,240ドル(約51万円)だった。

AFP通信が現地時間4日夜(日本時間5日早朝)に報じた時点で犯行声明は出ておらず、同行は攻撃者について明らかにしていない。アルケアは、新たな事実が分かり次第、状況を公表するとしている。

関連:北朝鮮ラザルスの資金洗浄役に潜入──ZachXBTが自己資金5,500万円で取引

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.92円、1ユーロ=177.80円)

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株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
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