3.1兆ドルの米国債発行が仮想通貨の転換点に
2025年、米国財務省による国債供給が過去最大規模となる見通しであり、金融市場全体に大きな影響を及ぼす可能性があることが、「Binance Research(バイナンス・リサーチ)」が18日に発表したレポートで明らかになった。
同レポートによれば、2025年の米国債の発行額は、再調達を含めて3.1兆ドル(約441兆円)を超えると予測されている。これは同年の米国GDPの約109%、さらにマネーサプライ(M2)の144%に相当する規模であり、過去にも類を見ない水準である。
米国債市場の供給過多が及ぼす影響とは
この巨額の国債発行は、政府の資金調達圧力の増大を意味しており、金利市場や流動性に大きな影響を及ぼすとみられている。特に注目されているのが、外国投資家の動向である。現在、米国債の約3分の1は外国勢が保有しており、地政学リスクやポートフォリオの見直しによってこれらの投資家が債券を手放す事態になれば、米国の借入コストがさらに上昇する可能性がある。
たとえ外国の需要が現状を維持したとしても、供給そのものの規模が大きすぎるため、金利上昇圧力が避けられないという見方もある。短期的にリスク資産が持ち直す場面もあるものの、2025年を通して続く国債供給のインパクトは、金利市場に構造的な重しとなると考えられている。
仮想通貨への波及効果
こうしたマクロ環境は、暗号資産(仮想通貨)市場にも無関係ではない。金利の上昇はリスク資産全般にとって逆風となる可能性があり、ビットコインなどの仮想通貨もその例外ではない。
ただし、政府が財政赤字を賄うために最終的に「債務の貨幣化(いわゆる財政ファイナンス)」に踏み切った場合、法定通貨の価値下落に備える「価値の保存手段」としてのビットコインの魅力が高まる可能性も指摘されている。
政策対応と今後の注目点
今後、米国債利回りが急上昇するような展開となれば、ホワイトハウスやFRB(米連邦準備制度理事会)による政策対応を迫られる可能性がある。その影響は、リスクフリー資産から仮想通貨まで、幅広い資産クラスに及ぶと考えられている。
2025年の米国債供給増加は、仮想通貨市場にとって一見ネガティブに映るかもしれない。確かに金利上昇はリスク資産売りを誘発する可能性があるが、「財政の信用不安」や「通貨の希薄化」は、ビットコインのような供給上限のある仮想通貨の価値を際立たせる要因となり得る。仮想通貨の代替資産としての役割は今後さらに高まるだろう
関連:東証上場アパレル企業ANAP、2億円相当のビットコインを購入
関連:「金・銀・ビットコインを持て」ロバート・キヨサキ氏が市場崩壊を警告
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.38円)