損失拡大と事業売却に警戒
高性能コンピューティング(HPC)向けインフラを提供する「Applied Digital Corporation(アプライド・デジタル・コーポレーション、以下アプライド・デジタル)」は14日、2025年度第3四半期(2月28日終了)の決算を発表した。売上は四半期ベースで過去最高を更新した一方、損失も拡大した。あわせて、クラウドサービス事業の売却と、HPCデータセンター事業への集中という戦略転換も明らかにした。
同社はHPCアプリケーションやクラウドサービスを展開し、特にビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)マイニングやブロックチェーン関連事業者向けに大規模な演算インフラを提供している。
第3四半期の売上高は前年同期比22%増の5,290万ドルで、四半期ベースでは過去最高。一方、純損失は3,610万ドルと前年同期比43%拡大し、希薄化後1株あたりの損失は0.16ドル(同69%増)だった。調整後EBITDAは1,000万ドルで、前年のマイナス130万ドルからは改善している。
クラウドサービス事業は、前年同期比220%増の1,780万ドルと大幅な伸びを示したが、GPU供給モデルの見直しに伴う課題で前四半期比では減収に。4月10日には取締役会が同事業の売却を正式承認しており、今後はより収益性の高いHPCインフラに注力する方針だ。
既存のデータセンター事業では、ノースダコタ州ジェームスタウンとエレンデールの両施設が稼働中。収益は3,520万ドルで、前年同期から7%の減少となった。
決算発表後の4月15日終値(5.37ドル)から、株価は約34.1%下落。執筆時点では3.54ドルとなっており、クラウド事業の売却や戦略転換への警戒感が影響しているとみられる。

アプライド・デジタルは今後、ビットコインマイニングやAI、ブロックチェーンといった成長分野に対応するHPC基盤に経営資源を集中させる構えだ。新たな局面に入った同社の取り組みに、今後も注目が集まる。
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