ZA Bank、取引所と連携し、香港ドル・中国元・アメリカドルへ変換する役割に
香港最大のインターネット専業銀行(仮想銀行)である「ZA Bank」のCEO「Ronald Iu」氏は11日、ブルームバーグのインタビューで「認可された取引所において、トークンから法定通貨への変換サービスを提供している」と語った。
顧客は暗号資産(仮想通貨)を取引所に預け、取引所が仮想通貨の価値を決定し、ZA Bankが代わりに法定通貨の出金処理を行う仕組みだ。ZA Bankのような仮想銀行が仮想通貨取引所の決済銀行として機能することで、仮想通貨から法定通貨へのより簡単で迅速な変換が可能となり、仮想通貨市場の流動性が改善されることが期待される。
こうした動きが世界的に広まっていくことで、仮想通貨が金融業界においてより一般的な資産クラスとして認められ、仮想通貨市場全体が活性化する可能性がある。
仮想通貨をより実用的な決済手段として利用可能に
従来の方法では、顧客は場合によっては仮想通貨を別のウォレットに送金するなど、現金化するためのステップが発生しており、取引所手数料と決済時間がネックとなっていた。
ZA Bankのような仮想銀行が仮想通貨の決済銀行として機能することで、よりスムーズかつ効率的な取引が期待される。顧客が仮想通貨を取引所に預けると、その資産をもとにZA Bankから法定通貨(香港ドル、人民元、米ドル)が融通される仕組みだ。
このビジネスモデルは既にHashKeyおよびOSLと連携して運用されている。HashKeyは仮想通貨取引所、OSLは仮想通貨と証券の取引を提供するデジタル資産取引所だ。どちらの企業も香港に拠点を置き、「香港證券及期貨事務監察委員会」(Securities and Futures Commission:SFC)によって発行されるライセンスを取得している。ZA Bankは、今後についてもライセンスを取得した取引所には同様のサービスを提供するとした。
既に香港はアジア太平洋地域における金融センターとしての地位を確立している。今後、仮想通貨にも注力することで仮想通貨における金融センターを目指す。アジア太平洋地域での暗号通貨の普及が促進されそうだ。
AML規制に適合した取引所と連携し、顧客の身元確認を徹底
従来の銀行が仮想通貨を扱うこと自体は、最近の動きでは珍しいことではなくなってきている。しかし、これまで銀行が仮想通貨を扱うことに消極的だった。仮想通貨が未だに法的地位が不明確であったり、マネーロンダリング防止(AML:Anti-Money Laundering)規制に適合することが難しいためだ。
マネーロンダリング防止の観点から金融業者は、取引に関する顧客情報を収集し、その情報を分析して不正な活動のリスクを評価し、必要に応じて取引を拒否する必要がある。また要件に従って報告を行うことも求められる。
ZA Bankの副最高経営責任者である Devon Sin 氏によると、ZA Bankは市の会社登記データを参照し、最小限の情報入力とクロスチェックによって不正な活動がないよう制御し、顧客の身元確認を行っている。
またライセンス認可を持つ取引所との連携によって、顧客が行う取引に対しても適切な監視を行い、不審な取引を発見した場合には、速やかに通報する体制を築いている。今後も認可された取引所のみと協力し、顧客のトランザクション履歴を記録し、規制要件を満たすための監視と精査を行うとしている。
- 関連: 米大手証券会社Interactive Brokers、香港でBTC取引サービスを開始(OSL Digital Securities)
- 関連: 香港SFC、個人投資家の仮想通貨取引容認について協議を開始