世界初、仮想通貨の法的認知と保護強化で、イギリスがデジタル資産のグローバルハブへ
イギリス議会は11日、暗号資産(仮想通貨)やデジタル資産を「財産」と認める画期的な法案を可決した。この法案は、ビットコインなどの仮想通貨、デジタルアートなどの非代替性トークン (NFT)、そしてカーボン・クレジットを含むデジタル資産を、イギリス史上初めて法的に「個人財産」として認めるものだ。
これにより、イギリスはデジタル資産の所有者の法的保護を強化し、世界のテクノロジー業界をリードする立場をより強固なものとする。
イギリス政府のプレスリリースによると、従来、デジタル資産はイングランドおよびウェールズの財産法の範囲内に明確に含まれておらず、所有者の資産が侵害された場合、法的グレーゾーンに置かれていた。今回の新法により、所有者や企業は詐欺や不正行為から法的保護を受けることができるようになる。
また、デジタル資産が争点となる複雑な事件や、離婚訴訟など、和解の一部を構成するケースにおいても、裁判官の判断材料が明確化される。
イギリス法務省も「この法案によりデジタル資産所有者は詐欺や不正行為に対する法的保護を得る」と公式Xに投稿した。
イギリスは、仮想通貨やその他のデジタル資産を個人財産として認める新法案を可決した。 これにより、デジタル資産の所有者は詐欺や不正行為に対する法的保護を得ることになる。
この動きは、2023年に法改正を勧告する法制委員会が発表した報告書を受けてのものだ。 この報告書では、イングランドおよびウェールズの法律において、デジタル資産を財産として認める上での障壁を特定し、解決策を提言している。
今回の法改正は、仮想通貨業界にとって、以下の重要なポイントがある。
- デジタル資産の法的保護強化: 仮想通貨が「財産」として認められることで、盗難や詐欺などの犯罪から、より強力に保護されるようになる。
- 法的明確性の向上: 所有権をめぐる紛争が発生した場合の法的処理が明確化される。例えば、離婚時の財産分与など、これまで曖昧だった部分が明確になり、より安心して仮想通貨を保有・取引できるようになる。
- イギリスの仮想通貨市場へのポジティブな影響: 今回の法改正は、イギリスが仮想通貨に対して前向きな姿勢を示すものであり、世界中から企業や投資を呼び込む可能性が高い。
イギリスの法務省の国務大臣であるハイジ・アレクサンダー氏は、「今回の法改正は、デジタル資産を保有する人々に、より大きな明確性と安全性を提供する」と述べている。また、イギリスの法的サービスは年間約5兆1,340億円の経済効果を生み出し、世界全体のM&Aの4分の1、国際的な企業仲裁の40%に関わっていることから、この法改正は、イギリスが国際的な法の選択肢として引き続き選ばれるために不可欠であると強調している。
一方で、この法案はイギリス政府の長期的な仮想通貨規制戦略の一環でもある。財務省のビム・アフォラミ経済長官は先日、ステーブルコインと仮想通貨のステーキングに関する新たな規制を6か月以内に導入する意向を示している。
これらの動きは、2022年にリシ・スナク首相が掲げた「グローバルな仮想通貨ハブ」としてのイギリスのビジョンを実現するための具体的な施策と言える。イギリス政府は、仮想通貨企業が「投資し、革新し、規模を拡大できる」環境の創出を目指している。
しかし、今年後半に予定されている総選挙が、これらの規制計画に影響を与える可能性も指摘されている。現在の世論調査では、仮想通貨に対してより慎重な姿勢を示す労働党がリードしており、政権交代が起これば、規制の方向性が変わる可能性もある。
イギリスの仮想通貨規制の行方は、グローバルな仮想通貨市場にも大きな影響を与えると予想される。世界有数の金融センターであるイギリスの動向は、他国の法整備にも波及する可能性が高く、業界関係者から注目を集めている。
今回の法改正は、仮想通貨が世界的に見て、より一般的な資産として認められるための大きな一歩と言えるだろう。
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参照ソース:イギリス政府発表/イギリス法務省公式X