米連邦預金保険公社(FDIC)は7日の理事会で、2025年7月に成立した米国ステーブルコイン規制法「GENIUS法」に基づく規則案を承認した。今回の規則案は、FDIC監督下でステーブルコインを発行する事業者や銀行に対し、準備資産、償還、自己資本、リスク管理の基準を定めるものだ。
「2営業日以内の払い戻し」を義務化、預金保険の適用範囲も明確に
規則案の核心は、ステーブルコイン発行者に求められる具体的な健全性基準だ。発行者は識別可能な準備資産の保有を義務づけられ、自己資本とリスク管理の要件は発行者の規模やリスクプロファイルに応じて個別に設定される。払い戻し(償還)については、保有者からの請求に対し原則2営業日以内に応じることが求められる。
投資家保護の観点で注目すべきは、預金保険の取り扱いだ。FDICは、ステーブルコインの裏付けとして銀行に預けられた準備金について、ステーブルコイン保有者に対して預金保険が直接適用される「パススルー保険」の対象外とする方針を示した。わかりやすく言えば、銀行預金であれば1人あたり25万ドル(約4,000万円)までFDICが保護するが、ステーブルコインを持っているだけでは同じ保護は受けられないということだ。
一方、トークン化預金(銀行預金をブロックチェーン上のデジタルトークンとして表現したもの)については、法律上の「預金」にあたる限り、従来の預金と同じく預金保険の対象になるとの方針が示された。ステーブルコインは保険対象外、トークン化預金は保険対象という線引きが明確にされた形だ。
テザーやサークルにも影響、ステーブルコイン市場の勢力図が変わる可能性
今回のFDIC規則案は、GENIUS法の下で2回目の規則制定にあたる。1回目は2025年12月19日に承認されたもので、預金取扱金融機関が子会社を通じてステーブルコインを発行する際の申請手続きを定めていた。今回はその上に、実際の運営基準を上乗せする形となる。
GENIUS法は域外適用の規定を含んでおり、テザーやサークルなど海外を拠点とする大手ステーブルコイン発行者にも影響が及ぶ。テザーは今年1月、GENIUS法準拠の米国向けステーブルコイン「USAT」を発行済みであり、サークルのUSDCも同法の枠組みに沿った運用体制を構築している。今回の規則案によって準備資産や償還の具体的基準が示されたことで、発行者間の競争条件がより明確になった。
日本でもステーブルコイン市場の整備が加速している。JPYC社が日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行し、SBIホールディングスとスターテイルが信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表。ソニー銀行も米ドル建てステーブルコインの発行を計画するなど、各社の動きが活発化している。米国での規制の具体化は、日本を含む各国の制度設計にも影響を与える可能性がある。




