- Nansen(ナンセン)はブロックチェーンを独自のデータベースでオンチェーン分析できるツール
- 有名ウォレットアドレスにラベルや絵文字をつけて可視化したWallet Labelsが特徴的
- 有料のサービスが多いが無料でポートフォリオ分析やレポートも読めて便利
Nansen(ナンセン)はプロも愛用するブロックチェーン分析ツール

「Nansen(ナンセン)」は、ブロックチェーン上の取引データを可視化・分析できるオンチェーン分析ツールです。
ウォレットの分類機能やリアルタイム追跡などを通じて、投資判断に役立つ情報を提供しています。
世界中の投資家やプロジェクトチームから信頼されており、a16zやCoinbase、Polygonなどの業界大手にも採用されています。
Nansenは2020年に設立され、本社をシンガポールに置いています。社名は、ノルウェーの探検家・科学者・人道主義者であるフリチョフ・ナンセン(Fridtjof Nansen)に由来しており、未知を切り拓く姿勢を象徴しています。
Nansen 基本情報
プロジェクト名 | Nansen(ナンセン) |
運営企業 | Nansen Pte. Ltd.(本社:シンガポール) |
設立年 | 2020年 |
ウォレット接続 | 基本不要(ポートフォリオ機能など一部で接続が必要) |
対応チェーン | 18以上(Ethereum、Solana、Arbitrum、Polygon、TON など) |
公式サイト | https://www.nansen.ai/ |
公式X(旧Twitter) | https://twitter.com/nansen_ai |
公式Discord | https://www.nansen.ai/discord |
公式Linkedin | https://www.linkedin.com/company/nansen |
公式Youtube | https://www.youtube.com/c/Nansen-ai |
投資家

Nansenは、これまでに複数のラウンドで著名なベンチャーキャピタルや業界大手から資金調達を行っており、その成長性と技術力が高く評価されています。
シリーズAラウンド(2021年)
- 主導:Andreessen Horowitz(a16z)
- 参加:Skyfall Ventures、Coinbase Ventures、imToken Ventures、Mechanism Capital、QCP Capital
- 調達額:1,200万ドル
シリーズBラウンド(2022年)
- 主導:Accel
- 参加:GIC、a16z、Tiger Global、SCB 10X、その他有力機関
- 調達額:7,500万ドル
これらの資金は、Nansenの製品開発の加速、対応チェーンの拡大、新機能の実装などに活用されています。
有料購読(Pricing)

Nansenは、目的やユーザー層に合わせて3つの有料プランを提供しています。Portfolio機能など一部は無料で利用可能ですが、本格的な分析やアラート機能を使うには有料プランの契約が必要です。
Freeプラン(無料)
対象:初心者やライトユーザー
- AIスマート検索機能(Smart Search)
- 基本的なオンチェーンAIシグナル
- ウォレットとエンティティの基本分析
- トークン/NFTの基本分析
- Nansen Portfolioでの資産管理(EVM・非EVM対応)
- 一部リサーチの閲覧可
Pioneerプラン(99ドル/月〜)
対象:アクティブな個人投資家
- Freeプランの全機能
- 3億以上のラベル付きアドレスにアクセス(10以上のチェーン)
- スマートマネーの取引/動向のインサイト
- 高度なトークン/NFT分析機能
- スマートアラート最大30件まで設定可
- カスタムラベル・セグメントの高度なフィルタリング
- パーソナライズ機能の拡張
Professionalプラン(999ドル/月〜)
対象:ファンド・本格トレーダー向け
- Pioneerプランの全機能
- 無制限のスマートアラート・カスタム設定
- CSVダウンロード
- 新機能の早期アクセス
- 専属カスタマーサクセスマネージャー(CSM)付き
- 年間契約でAlpha Communityへの申請可
- 5ユーザー以上の割引対応
- 将来的なNansen AI Agentの利用(近日公開予定)
Wallet Labels(ウォレットラベル)
Nansenでは、ウォレットアドレスにラベルと絵文字を付けて分類することで、「誰が何をしているか」をオンチェーン上で直感的に把握できます。
有名なファンドやプロトレーダー、NFTコレクターなどの動きを見分けられるため、投資判断やウォッチ対象の選定、Smart Alertsの設定にも活用可能です。
ラベルの例
- Fund:投資ファンドや機関投資家のアドレス
- Flash Boy:1回の取引で複数の利益を上げた高度なDEXトレーダー
- Heavy DEX Trader:分散型取引所で取引量上位1%のトレーダー
- Smart NFT Minter:NFTのミントで複数回5倍以上の利益を上げたアドレス
- Private Sale Investor:複数のトークンで10万ドル以上のプレセールに参加した投資家
さらに、視覚的にひと目で識別できる絵文字(Emojis)も併用されています。
絵文字 | 意味 |
---|---|
🤖 | スマートコントラクト |
🏦 | 取引所 |
🤓 | スマートマネー(プロ投資家や大口保有者) |
⛏️ | マイナー |
⚠️ | 注意が必要なアドレスやトークン |
ラベルと絵文字の組み合わせで、注目すべき動きを見逃さずチェックできます。特に、🤓(Smart Money)が資金を動かしたタイミングを捉えることで、先回りした判断がしやすくなります。
Nansen Queryではウォレットごとのラベル情報は取得できませんが、ラベルをもとに集計されたインサイトは一部利用されています。
Nansen Portfolioの使い方
Nansen Portfolioにウォレットを接続することで、DeFi資産をわかりやすく可視化・分析できます。
対応チェーンは18以上、140を超えるプロトコルにまたがる複数のウォレットを一括管理できるため、分散した資産の状況を一つのダッシュボードで把握するのに便利です。
Nansen Portfolioのはじめ方

Nansen Portfolioを使うには、まずウォレットを接続するか、メールアドレスでアカウントを作成する必要があります。ここでは2通りの登録方法を紹介します。
ウォレットで接続(MetaMaskなど)
MetaMaskなどの対応ウォレットを使えば、接続するだけでポートフォリオ機能をすぐに利用できます。NansenはEVM系(Ethereum、Polygon、Arbitrumなど)に加え、Solanaチェーンにも対応しており、複数チェーンにまたがる資産を一括で管理できます。
ウォレットをまだ作成していない場合は、主要チェーンに対応していて操作もわかりやすいMetaMaskがおすすめです。
関連:PC・ブラウザ版MetaMaskの使い方|登録から入金、送金方法まで解説
関連:【スマホ版】MetaMask(メタマスク)使い方完全ガイド
関連:メタマスクへイーサリアムを送金する方法をPC・スマホ版で解説!
①「Sign Up」をクリック

②料金体系を選択(ここでは「Free」プラン)

③「Sign in with Wallet」をクリック

④使用するウォレットを選択(ここでは MetaMask)

⑤チェーンを選択(ここではEVM)

⑥接続と署名を許可

メールアドレスで登録
①「Sign Up」をクリック

②料金体系を選択(ここでは「Free」プラン)

③メールアドレスとパスワードを入力し、利用規約に同意して「Sign Up」

パスワードの条件
- 8文字以上であること
- 小文字を少なくとも1文字含むこと
- 大文字を少なくとも1文字含むこと
- 数字を少なくとも1文字含むこと
- 記号を少なくとも1文字含むこと
- 英字、数字、記号のみで構成されていること(空白などは禁止)
④この画面が表示されます。

⑤届いた確認メールの「Verify Email」をクリック

Dashboard(ダッシュボード)
ダッシュボードでは接続したウォレットのポートフォリオが確認できます。ウォレット内のトークンが円グラフでわかりやすく表示されています。

下にスクロールするとウォレット内の資産状況やDeFiに預けいれている資産の確認ができます。チェーン別に表示も可能です。

Transactions(トランザクション)
Transactionsではウォレットの出入金などチェーン別トランザクションの確認ができます。Spamからのトランザクションはあらかじめ隠されているので見やすいです。トークンだけでなくNFTの履歴も確認できます。

Analytics(分析)
Analyticsではチェーン/トークン/プロトコルのアロケーション(割り当て)がグラフで確認できるほか、アセット価値やパフォーマンスの分析もできます。

Wallet Profiler(プロファイラー)
Wallet Profilerでは接続したウォレットに関するラベル(ENSなど)や関連するウォレット、トークンの分析ができます。

NFT Profiler(プロファイラー)
NFT Profilerでは接続したウォレットに関するNFTポートフォリオや売買履歴の確認ができます。

Portfolios(バンドル)
Portfoliosではポートフォリオの管理ができます。右上の「+Create New Portfolio」ボタンを押すとウォレットを追加しバンドルを作成できます。

Entities(エンティティ)
EntitiesではNansenでラベリングされたラベリングされた有名なCEX、DeFi、DAO、Funds、Donationsのポートフォリオが確認できます。

例としてCEXの代表格であるBinanceを確認してみます。総資産だけでなく関連するウォレットまで分析できます。

Protocols(プロトコル)
Protocolsではnansenがサポートしているプロトコルがチェーン別にリストされています。各プロトコルをクリックするとアクセスできます。

Nansenの使い方
https://pro.nansen.ai/ では詳細な分析をするための情報を確認できます。有料のコンテンツが多いですが、価値あるデータを確認できます。
Home
Home画面ではHOT NFT、ETH Exchange Flow、HOT DeFi Contractsの3つの項目が確認できます。有料プランに加入した場合はさらにHot Contracts/DeFi Paradise/Smart Money Token Holdingsの項目も表示されます。

またGM Digestとしてマーケットニュースもピックアップされていますので市場情報のチェックには最適です。

QUICK ACCESS(クイックアクセス)

QUICKアクセスではNansenの中でも人気の高いWallet Profiler/NFT Paradise/Token God Mode/DeFi Paradise/Smart Money/Hot Contractsの項目にすぐにアクセスできます。
Wallet[一部有料]
アドレスを入力するとそのウォレットの保有するトークンやNFTをはじめ、トランザクションを実施する時間や関連するウォレット、DEXなどの情報が分析できます。

NFT Analytics[一部有料]
NFT AnalyticsのNFT PardiseではNFTマーケットの概要が確認できます。ボリュームや平均価格、フロアの推移などをリストで確認できます。Live Feed、Highlights、Smartmoney、Leaderboardなどの詳細情報も有料で確認できます。

Tokens[一部有料]
TokensのToken Trendsでは各DEXにおけるボリューム数、スワップ回数、ウォレット数などがグラフで確認できます。

DeFi Analytics[有料]
![DeFi Analytics[有料]](https://jinacoin.ne.jp/wp-content/uploads/2023/04/Nansen_06.webp)
DeFi ParadiseではLiquidity Pools/StakingにおけるAPYやボリューム、TVLなどのデータの分析が可能です。
Smart Money[有料]
![Smart Money[有料]](https://jinacoin.ne.jp/wp-content/uploads/2023/04/Nansen_07.webp)
スマートマネーでは、アクティブに利益を上げているトレーダーやNFTホルダーのウォレットをラベリングし追跡します。そのウォレットが何を保有し、どこに資金を移動しているのかが詳細にわかります。
Macro(マクロ)
MacroのChainParadiseではチェーンにおけるアクティブなアドレスやトランザクション数、マルチチェーンにおけるアクティビティやブリッジについてグラフで確認できます。各チェーン別の分析もできます。

Ecosystem(エコシステム)
EcosystemではnansenがセレクトしたAxie InfinityやLido、LooksRareなどのエコシステムや取引所の残高の概要などを確認できます。

Resource(リソース)
Nansenではその分析力を活かし、ブログやレポートで情報発信もしています。無料レポートも多くクオリティは高いです。
Research(リサーチ)
NansenリサーチはNansenが独自に調査した市場をリードするリサーチとインサイト(消費者の隠れた心理)を読むことができます。Blockchain/DAO/DeFi/Gaming/Guides/NFT/Smart Moneyのトピックで分類されているので検索もしやすいです。

Reports(レポート)
Nansenレポートでは偏りのない公平な分析ソースに基づき、機関投資家レベルの市場調査・洞察に基づくレポートを読むことができます。各チェーンやNFTに関してグラフなどとともに深く掘り下げられています。

Blog(ブログ)
Nansenブログでは最新のニュースやアップデート情報を読むことができます。週間リサーチ、月刊レビュー、ニュースレターなど直近の市場動向がわかる情報がまとめられています。

Guide(ガイド)
Nansenガイドでは仮想通貨やDeFi、NFTの基本コンテンツがまとめられています。定期的にアップデートもされているので、初心者のみならず幅広く知識を得ることができます。

Nansen Query(クエリ)の活用[有料]
NansenクエリではSQLデータベースをもとに複数のブロックチェーンのオンチェーンデータが提供されており、ユーザーが特定したスマートコントラクトのDepositおよびWithdrawイベントを含むテーブルをNansenクエリ内に作成できる有料サービスです。
データには、未加工のブロック データ、集約されたカテゴリ データ (dex、貸出/借入、ステーブルコインなど)、および個々のスマート コントラクトからのイベントが含まれます。データは、簡単にアクセスできるように Google Cloud BigQuery でホストされています。
詳細な使い方に関しては https://docs.nansen.ai/ をご覧ください。
クエリ(query)とは、ITではソフトウェアに対するデータの問い合わせや要求などを一定の形式で文字に表現することを意味します。 クエリを通じて、データの検索や更新、削除、抽出などの要求をデータベース(DBMS)に送信することができます。

Nansenに関するよくある質問(Q&A)
はい。NansenはNansenとNansenportfolioの2種類の公式Twitterアカウントがあります。
はい。有料のNansenクエリから取得できます。Nansen Query Predefined APIは、NansenのWebサイトにあるものと同じリアルタイムのブロックチェーン データが取得でき、API を使用することでデータをより細かくすることができ、完全な履歴で利用できます。
たとえば、Wallet Profiler レポートは、ウォレットの現在のトークン保有を表示できます。Nansen APIを使用すると、ウォレットの保有履歴も取得できるため、ウォレットのトークンポジションをより詳細に分析できます。
自分のポートフォリオ分析をしたいだけなら無料版でも可能です。有名なCEX、DeFi、トレーダーなどの情報を詳細に分析したい場合は有料版をお勧めします。
Nansenは暗号資産やNFTプロジェクトのトレーダーにとっては、投資のタイミングを理解することが重要だと考え、Smart Alertsという機能を実装しています。Smart Alertsではお気に入りのトークンが指定した条件を満たした場合に、DiscordやSlackなどのSNSへ通知を送ることができます。
例えば、あるNFTプロジェクトにおいて新たなNFTが作成されたタイミングで通知を受け取ることができます。方法はNFTのMinting Leaderboardでお気に入りのミンター(NFTのクリエイター)のアドレスをSmart Alertsのフィールドに設定し、アラート先を指定するだけです。
NansenでBybitをはじめとした取引所の情報が知りたい場合はPortfolioのEititiesから対象の取引所を選択してください。JinaCoinでもBybitをはじめとした海外取引所の情報を独自にまとめているので、合わせてご確認ください。
Bybit

Kucoin

まとめ
今回は投資のプロや有名なクリプトチームも愛用する分析プラットフォームNansenについて解説しました。
簡単にまとめると‥
- Nansenはブロックチェーンの分析プラットフォーム
- 有力なインベスターから投資を受けており開発資金は潤沢
- 有料サービスが多いが有名プロジェクトも使用しており信頼性が高い
- 有名ウォレットを可視化したWalletLabelsで簡単に分析
- 初心者からプロ向けまでレポートも充実しており情報収集に最適
一般ユーザーからすると定期購読するには少し価格設定が高めに思えますが、プロからは価格以上の価値をもたらすプラットフォームとして扱われていますね。無料で使える部分をうまく活用しましょう。