ビットコイン(BTC)への投資戦略を掲げる「株式会社Metaplanet(メタプラネット、証券コード:3350)」の株価が急落し、市場に不安が広がっている。11日、YouTubeチャンネル「田端大学 投資学部」は「メタプラとは一体何だったのか」と題した動画を公開し、同社株をめぐる投資家心理と市場のメカニズムについて解説した。
メタプラ株は「過去形の銘柄」と断言
同チャンネルを主宰する田端信太郎氏は、メタプラネット株が高値圏で推移していた2~3カ月前から一貫して「割高だ」と警告してきたと振り返る。そのうえで、代替の投資先としてビットコインそのものやビットコイン財務戦略企業の筆頭である「Strategy(ストラテジー)」株を推奨していたと明かした。
メタプラネット株は6月19日に直近の高値となる1,930円を記録したが、その後下落に転じ、6月25日には一時1,200円台まで下落。執筆時点ではこの水準を大きく割り込み、575円と前日比-10.85%で続落している状況だ。田端氏は、依然として株を手放さない投資家を「HODL(ホドル)」と揶揄し、「メタプラはもはや過去形の銘柄だ」と厳しく断じている。

また動画内では、株価評価の指標として注目される「M-Nav」(1株あたりのビットコイン時価と株価の比率)についても議論が交わされた。M-Navが1に近づきつつある状況に対して田端氏は、「M-Navが1を切ればメタプラネット株を買ってもいい」と語った。これはPBR(株価純資産倍率)と同様、同社株が割安になるという判断のもとだ。
さらにメタプラネット株の信用買いが増えている点を受け、田端氏は強制売却が連鎖的に発生することで株価が急落する仕組みを「映画館での火事」に例え、群集心理がもたらすパニック売りの危うさを指摘した。過熱した相場が一気に崩れる現象を「イナゴタワーの崩壊」や「バンドワゴン理論」で解説し、相場の循環的な本質を示している。
投資家への批判も厳しい。田端氏は、NISA枠を用いた高リスク銘柄への投資や「一発逆転」を狙う姿勢を「傲慢」と切り捨てた。さらに、機関投資家の空売りを敗因に結びつける態度を「負け組の発想」と批判。ビットコインを本気で信じるのであれば、株式を経由せず現物を直接保有すべきだと繰り返し強調した。
投稿された動画は、ビットコインや関連銘柄に投資する際に求められる冷静な判断力とリスク管理の重要性を浮き彫りにしている。市場が熱狂と崩壊を繰り返す中、投資家に必要なのは短期的な値動きを追いかけることではなく、長期的な資産形成の視点と責任ある意思決定だと言えるだろう。
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