長野県松川町と、旅人人材と地域をつなぐプラットフォームを運営するSAGOJO(東京都)は30日、NFT(非代替性トークン)を活用した関係人口創出事業を開始した。町制施行70周年を記念し、地域コミュニティ「南信州まつかわ『おもしろがりのくに』」の住民権を、NFTとして販売する。
「1日町長」など体験特典付きの4種
販売されるのは、関わりの深さに応じた4種類の住民権NFTだ。年間1万円の「たびびと」から、3万円の「おとな住民」、5万円の「おやこ住民」「おやこ住民プレミアム」まで用意され、目的に合わせて選べる(いずれも税込)。
所有者全員に、りんごなど松川町の産品が年1回届くほか、限定コミュニティやイベントに参加できる。くだもの狩りが盛んな町の特性にちなみ、特別な体験を「おもしろ狩り」と名付けて提供する。
住民権ごとに固有の体験特典も付く。「おとな住民」はりんごの木1本のオーナーになり、手入れから収穫までを楽しめる。「おやこ住民」は年4回のイベントで森にツリーハウス(ひみつ基地)をつくる。「おやこ住民プレミアム」では、子どもが松川町の「1日町長」となり、まちのパトロールやPRといった仕事を体験できる。
NFTアートは、イラストレーターのならの氏が描き下ろした。特典の有効期間は1年ごとに自動更新されるが、NFT自体は期間の制限なく保有でき、町とのつながりのシンボルとして手元に残せる。
NFTで「関係人口」を持続可能に
この事業の背景には、地方自治体が抱える「関係人口」の課題がある。関係人口とは、定住する住民でも一時的な観光客でもなく、地域と継続的に関わる人々を指す。担い手不足の解消や賑わいの創出につながるとして、各地で創出が重要な政策テーマになっている。
松川町もこれまで関係人口づくりに取り組んできたが、参加人数の制限や運営費の持続性が課題だった。そこで、NFTが持つ「唯一性の証明」という特性を活かし、町とのつながりをデジタルで可視化しながら、参加費を運営の原資に回す仕組みを構築した。
運営は、3万人以上の登録者を持ち、全国250以上の自治体・団体と連携してきたSAGOJOが、集客から特典提供まで一貫して担う。松川町は、地域おこし協力隊を2026年9月ごろに採用し、現地での運営を支える計画だ。
将来的には、リニア中央新幹線や三遠南信自動車道の開通を見据えた来訪促進、ふるさと納税やふるさと住民登録制度との連携も視野に入れる。NFTを地域経済の循環につなげる、自治体の新たな取り組みとして注目される。
NFTの販売は、専用の特設ページで受け付けている。


