スペイン治安当局のグアルディア・シビル(国家治安警備隊)は20日、暗号資産(仮想通貨)ハードウェアウォレット大手Ledger(レジャー)の共同創設者デヴィッド・バランド夫妻を誘拐した疑いで、フランス当局から国際指名手配されていた男をマラガ州ベナルマデナで逮捕したと発表した。
ビットコインで1,000万ユーロの身代金を要求、指の切断も
逮捕された男は、2025年1月の誘拐事件に関与した犯罪組織の最後の逃亡犯とされている。グアルディア・シビルの発表によると、犯行グループは武装した覆面姿の3人組でバランド夫妻を学校への送り迎え直後に襲撃。解放の条件としてビットコインで1,000万ユーロ(約18.4億円)相当の身代金を要求した。
交渉圧力を強めるため、犯人らはバランド氏の指を切断。切断された指は同氏の関係者に送りつけられたとの報道もある。バランド夫妻は約24時間拘束された後、フランス警察の救出作戦により解放された。
事件直後にフランス当局は現場周辺で10人を逮捕しており、犯罪組織のメンバーのうち今回の逮捕者のみが逃亡を続けていた。グアルディア・シビルは「フランス当局が犯罪組織の全メンバーを特定・逮捕した」としている。
グアルディア・シビルによると、逃亡犯はフランスからスペインに入国後、まずバレンシア州でパートナーと友人とともに潜伏。オンラインプラットフォームで借りたアパートに滞在し、第三者名義の銀行カードで費用を支払うなど、痕跡を残さない生活を送っていた。
その後セビリア、カディスと移動を重ね、最終的にマラガ州ベナルマデナで発見・逮捕された。逮捕にあたっては、容疑者の危険性と犯罪組織による奪還の可能性を考慮し、大規模な警察部隊が投入されている。現在、フエンヒローラの裁判所がフランスへの引き渡し手続きを進めている。
本事件は、暗号資産保有者を物理的な暴力で脅して資産を奪う「レンチ攻撃」の代表例だ。2025年のレンチ攻撃件数は前年比75%増加しており、特にフランスでは今年だけで23件中16件が報告されるなど深刻な状況が続いている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ユーロ=183.82円)




