FTX創業者サム・バンクマン-フリード氏の元恋人、キャロライン・エリソン氏が、司法に協力するも詐欺で懲役2年の実刑判決
ロイター通信は25日、仮想通貨取引所「FTX」の創業者サム・バンクマン-フリード氏の元恋人であるキャロライン・エリソン被告に、禁錮2年と保護観察3年の刑が言い渡されたと報じた。
エリソン被告は、FTXの姉妹会社アラメダ・リサーチ社の元CEOとして、80億ドル(約1.2兆円)規模の顧客資金流用に関与した罪で起訴されていた
アラメダ・リサーチ社は、バンクマン-フリード氏が設立した仮想通貨取引所FTXの姉妹会社で、FTXが2022年11月に破綻した当時、エリソン氏はアラメダ・リサーチのCEOを務めていた。彼女は、7つの重罪で有罪を認め、最大110年の禁錮刑に直面していたが、検察との司法取引に応じた。
エリソン被告は、バンクマン-フリード被告の公判で3日間にわたり証言し、FTX顧客の資金を無断で流用するよう指示されたと証言した。この証言は、バンクマン-フリード被告の有罪判決に大きく寄与したとされる。
検察側は、エリソン氏がバンクマン-フリード氏に対する裁判で「模範的」な協力姿勢を示したとして、寛大な判決を求めていた。弁護側は、エリソン氏がバンクマン-フリード氏の有罪判決に大きく貢献したこと、彼女が主犯ではなかったこと、そして反省していることを理由に、禁錮刑なしの保護観察3年を求めていた。
しかし、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のルイス・カプラン判事は、これほど重大な事件において、反省と協力だけで「刑務所から完全に免れることはできない」と述べて、2年の実刑判決を言い渡した。
米国の経済・金融専門ニュースメディア「FOX Business(フォックス・ビジネス)」によると、エリソン被告はさらに約71億ドル(約1兆円)の資産没収を命じられた。この金額は、FTXとアラメダ・リサーチの不正行為によって得られた利益や、顧客から流用された資金に相当すると考えられる。この巨額の資産没収命令は、FTXの被害者への補償に充てられる可能性が高い。
バンクマン-フリード被告は今年3月、25年の禁錮刑を言い渡されており、現在控訴中だ。FTXの崩壊は、米国史上最大級の金融詐欺事件の一つとされ、仮想通貨業界に大きな衝撃を与えた。
エリソン被告の判決は、仮想通貨業界の透明性と規制の重要性を改めて浮き彫りにした。今後、FTXの他の元幹部の判決も予定されており、業界全体への影響が注目される。
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参照ソース:ロイター通信/フォックス・ビジネス