金融庁は7日、暗号資産(仮想通貨)ワーキング・グループ(WG)の第5回会合を14時より開催する。今回の会合は、暗号資産レンディング(貸し出し)サービスに対する新たな業規制の導入と、情報提供における虚偽記載への罰則や課徴金制度の創設などを焦点に議題が進むとみられる。
信頼ある暗号資産市場、規制明確化と罰則強化が鍵に
これまでの議論では、拡大する暗号資産市場に対し、利用者保護が十分でないとの懸念が浮上していた。特に暗号資産を借り入れて運用するレンディング事業については、利用者が事業者の信用リスクや再貸付け先の破綻リスクを負っているにもかかわらず、現行制度上「暗号資産交換業」に該当しないため、金融庁の監督外に置かれている点が課題として上がっていた。
金融庁はこのレンディングを投資的な性格を持つものとみなし、金融商品取引法の枠組みで規制する方向で検討を進めている。これが実現すれば、事業者には暗号資産の管理体制やリスク管理体制の整備、顧客へのリスク説明義務などが課されることとなる。また、過度な広告や誤解を招く表示の防止策についても議論が行われる見込みだ。
一方、暗号資産の新規発行や販売(IEOなど)に関しては、情報開示の信頼性向上を目的として、虚偽記載や情報不提供に対する罰則および課徴金制度の導入を検討。さらに、発行者自身が作成した情報に虚偽があったことを暗号資産交換業者が知りながらその暗号資産を取り扱った場合も、交換業者に対し罰則や課徴金を課す案も上がっている。情報の正確性を確保する責任が、発行者と交換業者の双方に強く求められるようになる見込みだ。
こうした規制強化の背景には、過去に発生したハッキング被害や詐欺的投資勧誘など、暗号資産市場の信頼を損なう事例が相次いだことがある。金融庁は法的枠組みの明確化と罰則強化を通じて、国内の暗号資産市場をより透明で安全な環境へと整備する方針だ。
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