イーサリアム共同創設者ヴィタリック、EDCONで今後5年のロードマップ発表

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

短期はスケーリング、長期は「シンプル化」

イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が17日、日本で開催中のイーサリアム開発者会議「EDCON」に登壇し、今後5年間の技術的ロードマップを示したことが、参加者のX(旧Twitter)投稿から明らかになった。

短期的な最優先事項:スケーリング

ブテリン氏が示したロードマップの短期的な最優先事項は、「スケーリングのさらなる強化」である。具体的には、以下の項目が挙げられた。

  • L1ガスリミットの引き上げ:分散性を維持しつつ、レイヤー1の処理能力を向上させる。
  • ブロックレベルのアクセスリスト:トランザクションの効率を改善する。
  • ZK-EVMs:ゼロ知識証明を活用したEVM(イーサリアム仮想マシン)の実装を進める。
  • リプライシングとスロット最適化:「オペレーションコストや処理効率を見直す。

また、スケーリングと並行して、ブロックチェーンの「書き込み」と「読み取り」におけるプライバシー保護の向上も短期的な重点項目として挙げられた。これは、支払い、投票、DeFi(分散型金融)での取引といったユーザーのオンチェーン活動のプライバシーを保護するためのもので、ゼロ知識証明や匿名プール、混合ネットワークといった技術の活用が鍵となる。

中期的な目標:相互運用性とファイナリティの短縮

中期的な目標としては、ブロックが最終的に確定するまでの時間(ファイナリティ)の短縮やL2間の相互運用性の強化が掲げられた。これを実現するため、「3SF(Three slot finality)」などの高速ファイナリティ技術の研究や、クロスL2資産移転の信頼性向上(ZK証明による無信頼化)、プルーフ集約、イレージャーコーディングによるネットワーク最適化といった取り組みが示された。

長期的なビジョン:「Lean Ethereum(無駄のないイーサリアム)」

そして、長期的なビジョンとして示されたのが、「Lean Ethereum(無駄のないイーサリアム)」というコンセプトだ。これは、イーサリアムのプロトコルを可能な限り「安全、シンプル、そして最適」な状態にすることを指す。

主な内容は以下の通り。

  • 耐量子性:将来の量子コンピュータによる攻撃リスクに備える。
  • 形式的検証:プロトコルの安全性を数学的に証明する手法を取り入れる。
  • 理想的な暗号プリミティブへの移行:ハッシュ関数や署名、ゼロ知識証明(ZKP)などを、より最適で効率的なものに切り替える。

ブテリン氏は、これらの開発を通じて、今後数年でイーサリアムL2ネットワークのユーザー体験が大幅に向上し、より信頼性の高いインフラへと進化していくとの見通しを示した。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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