イーサリアム(ETH)は24日、22日の高値である4,889ドルを突破し、4,957ドルと高値ベースで再び史上最高値を更新した。執筆時点では4,709ドルと前日比-1.49%で推移。直近の急騰から一時的な下落を見せている。

利下げ観測を背景に仮想通貨市場が活況入り
イーサリアム上昇の後押しとなったのは、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の発言だ。同氏は22日、米ワイオミング州ジャクソンホールで行われた講演において、9月の利下げの可能性を示唆した。
この発言を受け、暗号資産(仮想通貨)市場全体が急伸。イーサリアムはその中でも際立つ動きを見せ、同日に前日比+14.31%と大幅な上昇を記録し、2021年11月以来となる約4年ぶりの史上最高値更新に至った。
直近の動きとしては、これまで強い抵抗帯となっていた4,000ドルの節目を明確に突破。その後は同水準がサポートラインとして機能し、押し目を形成して価格上昇に転じた。投資家の間では次の大台である5,000ドル突破への期待感が高まっている。
オンチェーン指標は資金流入拡大と市場の過熱を示唆
イーサリアムの強気ムードを裏付けるように、オンチェーン指標も好調なシグナルを示している。投資データ分析プラットフォーム「Alphractal(アルファラクタル)」は25日、公式Xでイーサリアムの現状を分析。2つのオンチェーン指標を基に「価格が今後大きく動く可能性が高い」との見解を示した。
その根拠のひとつとして挙げられたのが、長期投資家がイーサリアムに投じた資金の動きを追跡する「Realized Cap Impulse(Long-Term)」だ。この指標が大規模な資金流入の継続を示しており、今後の価格上昇の基盤が整っている状況だという。さらに、市場の過熱度を示す「Market Temperature」も高水準にあり、投資家心理が強気に傾いているとアルファラクタルは指摘する。
一方で、過熱感の高まりはリスク要因でもある。アルファラクタルは「イーサリアムはオンチェーン上で沸騰している状態だ」と表現し、現在の市場は上昇方向と下落方向のどちらにも強い力が働きやすいと指摘。価格上昇チャンスがある反面、利益確定による急落の可能性があると投資家へ警告した。
イーサリアムは好材料とリスクが交錯する中で次の局面を迎えつつある。今後、イーサリアムは金融政策や投資家心理の変化によって新たな歴史を刻むか、それとも急落の波に飲まれるのか、市場の注目はさらに高まりそうだ。
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