イーサリアム(ETH)は4,000ドル付近で底固めをした後、次のレジスタンスである4200ドルに向けて小幅上昇。
背景には、米国で29日に開かれるドナルド・トランプ大統領と議会指導部による会議の影響も。また10月の利下げに影響する雇用統計を前に市場は神経質になっている。
ETHが地固めを終え4,200に向けて小幅上昇 レジスタンスを抜ければ4,600も視野に

ETHは25日、一時重要なサポートゾーン(紫の線で描画)である4,000の価格帯を割り込んだが、その後ダブルボトム(白線で描画)を形成し抵抗ラインを上抜け。その後、レジサポ転換を確認してから次の抵抗である4200ドル付近に向けて再上昇中。

4,200ドル~4,250ドルの価格帯には、ロングの清算ポジションが集中しており、このゾーンを上抜けすると大量のロスカットを巻き込んで、急上昇していく可能性がある。4,200ドルより上の価格帯で定着できれば、4,600$までの上値余地も見えてくるだろう。抵抗ライン上抜けを失敗した場合は、4,000ドル~4,200ドルの間でレンジを組む可能性が高い。
ETH上昇の主な要因は米議会閉鎖懸念の後退、30日未明の会議次第で乱高下も
米大統領ドナルド・トランプ氏が29日、連邦予算案の維持するかを決定する再投票の前に、議会指導部と会議を行うと発表。

この報道を受け、ポリマーケットでは「10月1日に米国政府が閉鎖される」可能性について、一時77%まで織り込まれていたところから63%に急落した。
米国閉鎖懸念が後退したことで、リスク市場にやや活気が戻り、ETHは4,000ドル付近から一時4,147ドルまで上昇。トランプ氏と議会指導部の会議は30日未明(日本時間)に行われると見られているが、交渉の内容次第では急騰、または急落の可能性があるので要注意だ。
市場は10月1日ADP雇用統計に注視、ただし政府閉鎖で発表延期になる可能性も
米議会閉鎖と共にリスク市場から注目を集めているのが10月1日に発表されるADP雇用統計(9月分)だ。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が24日、追加利下げに慎重な姿勢を見せ市場はやや悲観ムードに傾いたが、雇用のさらなる悪化が確認されれば議長も方針転換を迫られるだろう。

ポリマーケットによれば、10月の利下げの確率は81%とまだ完全に織り込まれていない。そのため雇用統計が市場予測より弱ければ利下げ観測が高まると同時にリスクオンの動きが強まり、ETHが4,200ドルの抵抗を突破する可能性も出てくるだろう。逆に予想より強ければ利下げ観測が弱まるため、再び4,000ドル付近のサポートを試す展開が考えられる。
また、10月1日に米国政府の閉鎖が実施された場合は雇用統計の発表が延期され、市場がパニックに陥るリスクも考慮しておこう。
ETF市場は週次で流入増も日次で流出超過する場面もあり未だ不安定な状況
コインシェアーズの週次レポートによれば、9月15日週はデジタル資産全体で33億ドル(約4,917億円)の資金流入を記録し、うちETHは6.46億ドル(約963億円)の強い流入となった。続く9月22日週もETHへの流入は7.72億ドル(約1,150億円)となり、2週連続でETH志向の回復が鮮明になっている。
一方ファーサイド・インベスターズの集計では9月27日、ブラックロックのETH現物ETFで約2億ドル(約298億円)の流出が発生。資金の出入りが交錯しており、方向感が出にくい状況だ。
現在ETHはやや価格を持ち直しているが、30日未明の会議、そして10月1日の雇用統計の結果次第で方向感が一気に変わる可能性もある。大きなイベント前は利確・損切、レバレッジ縮小などのリスク管理を徹底しておこう。
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