新プロジェクト「EigenCloud」に集中へ
リステーキングを中核に据えるプロジェクト「EigenLayer(アイゲンレイヤー)」の開発元である「Eigen Labs(アイゲンラボ)」は9日、全従業員の25%に相当する29人を解雇したと発表した。この厳しい決断を下したのは、共同創設者であるスリラム・カナン氏その人。同氏は自身のX(旧Twitter)アカウントで、「今日はアイゲンラボにとって最も困難な日の一つだ」と、その苦しい胸の内を吐露した。
だが、感傷に浸ってばかりもいられないだろう。今回の人員削減は、単なるコストカットではなく、明確な戦略的意図に基づいているのだから。
カナン氏によれば、今回の目的は事業の再構築と経営資源の集中にあるという。そして、その集中させる先こそが、同社が次に挑む壮大なプロジェクト「EigenCloud(アイゲンクラウド)」である。これは「世界初の検証可能なクラウドプラットフォーム」の構築を目指すものであり、リステーキングで築いた土台の上に、さらに野心的な未来を描こうとする試みに他ならない。つまり、今回の解雇は、未来への投資のために過去を切り捨てるという、非情だが、必要かつ合理的な経営判断の結果なのだ。
もちろん、言うは易く行うは難し。共にプロジェクトの基礎を築いてきた「聡明な仲間たち」に別れを告げることは、経営者にとって断腸の思いであったはずだ。カナン氏は、退職する従業員に対して、「包括的な退職パッケージ」「早期の権利確定」「医療保険の継続」「手厚いキャリアサポート」を提供し、最大限の支援を約束している。これは、企業としての責任を果たそうとする誠実な姿勢のあらわれとも言える。
だが、なぜ今のタイミングだったのか? アイゲンレイヤーは、文字通り破竹の勢いで成長を続けていたはずだ。その裏では、企業は次なる一手、より困難で、しかしより大きな果実をもたらす可能性を秘めたアイゲンクラウドへと、静かに舵を切っていたのである。暗号資産(仮想通貨)の世界では、一つの成功に安住することは許されない。常に次のフロンティアを目指し、時には痛みを伴う変革をも厭わない者だけが、生き残ることができるのだ。
今回の決定は、アイゲンラボが新たなステージへ進むための、産みの苦しみと言える。「A Tighter Strategy(より引き締められた戦略)」と「Renewed Energy(新たなエネルギー)」、そして「A Team Laser-focused on our Mission(我々のミッションにレーザーフォーカスしたチーム)」と共に、彼らは今日からふたたび「検証可能なクラウド」へと歩み始めるのだ。
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