DBS香港が示す富裕層向け投資の新たな選択肢
DBS香港は、同社のバンキングサービス「Treasures」およびプライベートバンキング部門「Private Banking Treasures」の顧客が、仮想通貨ETFに投資できるようになったことを発表した。
Treasuresは最低100万香港ドル(約2,000万円)、Private Banking Treasuresは最低800万香港ドル(約1億5,000万円)の預金が必要。
プライベートバンキングとプライベートバンクの違い
よく似た言葉だが、「プライベートバンキング」と「プライベートバンク」の違いをご存じだろうか?
プライベートバンキングとは、大手銀行や大手証券会社の富裕層向け運用口座のことを指す。一方、プライベートバンクとは、(銀行や証券会社の傘下に属さない)独立系の富裕層向け運用会社のことだ。前者のOBが自分の顧客を連れて、後者を開業することも多い。
本件はいうまでもなく、DBS香港の「プライベートバンキング」部門の話だ。
世界株 vs. プライベートバンキング
今年の元旦に「世界株」の伝導者・山崎元氏が亡くなった。プライベートバンキングは、収益面・リスク分散面ともに世界株には敵わないことは、ファイナンス理論的にも数学的にも、そして実績的にも証明されている。
これはプライベートバンキング部門の人件費や減価償却費を引く前の話なので、これらを控除するとプライベートバンキングはなお分が悪い。
ありていにいって、富裕層はプライベートバンキングなどやめて、自分で世界株や仮想通貨ETFを買った方が儲かるし、リスク分散もできるのである。
にもかかわらず、プライベートバンキングやプライベートバンクがなくならないのは、プライベートバンカーたちは投資などという限られた分野だけでなく、富裕層の人々のトータルな「お世話役」を買ってでているからである。
富裕層もついに仮想通貨に食指
基本的に富裕層は、プライベートバンキングやプライベートバンクに運用を一任している。だが、ついに富裕層の中にも仮想通貨に興味を持つ者が出現しはじめた。
そうした動きの現れが、今回の「DBS香港のプライベートバンキング部門、仮想通貨ETFの取扱いを開始」だ。
わがままな富裕層が仮想通貨にも投資したいといえば、それに応えるのがいっぱしのプラベートバンカーというものだ。
世界株を超える世界投資
さすがの山崎元氏も、(世界株のネーミングからもわかる通り)ポートフォリオに仮想通貨は組み入れていない。
だが、ポートフォリオには仮想通貨も組み入れて「世界投資」とするのが、ファイナンス理論的にも数学的にも正しい。
もともと富裕層の投資は、利殖よりも「インフレ対策」と「リスク分散」に重きを置く傾向が強い。強いインフレ耐性をもち、株とも債券とも不動産とも価格連動しない仮想通貨は、富裕層からみて非常に魅力的な資産といえる。
つまり、ズバリ!今後世界の富裕層マネーが仮想通貨に流れ込む公算は大だ。その嚆矢として、本件のニュースは見逃せないだろう。
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