暗号資産(仮想通貨)データ分析プラットフォームのArtemisが10日に公開したデータによると、過去30日間で暗号資産セクター間のパフォーマンスに顕著な格差が生じている。完全希薄化時価総額ベースの加重平均で測定したセクター別騰落率は、プライバシーコインが86.5%上昇してトップに立った一方、NFTアプリケーションが21.5%下落して最下位となった。
プライバシー・データ関連セクターが上位独占

トップ5セクターは、プライバシーコインに続いてファイルストレージが64.9%、ソーシャルが29.7%、データアベイラビリティが9.8%、ストア・オブ・バリューが8.0%となった。プライバシー重視のプロジェクトやデータ関連セクターへの資金流入が顕著となっている。
プライバシーコインセクターでは、ジーキャッシュ(ZEC)やモネロ(XMR)といった主要銘柄が大幅上昇を牽引した。特にZECは、著名トレーダーのアーサー・ヘイズ氏が2025年の注目銘柄として挙げたことで投資家の関心が高まっている。規制強化への懸念から、プライバシー保護技術への需要が高まっていることを反映している。
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ソーシャルセクターの29.7%上昇も注目に値し、Web3ソーシャルプロジェクトへの期待が高まっている。AI関連セクターも7.5%上昇と堅調で、テーマ性の高いセクターには一定の資金流入が見られた。データサービスも2.9%上昇し、データ関連全体の堅調さを裏付けている。
NFT・ステーキング・取引所トークンが大幅下落
一方、ワースト5セクターは、NFTアプリケーションの21.5%下落に続き、ステーキングサービスが15.4%、取引所トークンが9.3%、ブリッジが5.4%、ゲーミングが5.4%下落した。
NFT関連プロジェクトは、2022年後半からの市場低迷が続いており、取引高・フロア価格ともに低水準で推移している。ステーキングサービスの15.4%下落は、市場全体の調整局面を反映している可能性がある。取引所トークンの下落は、取引高の減少や規制リスクへの懸念が影響しているとみられる。
ビットコイン・イーサリアムも軟調
ビットコインは4.2%下落、イーサリアムは3.7%下落と、主要銘柄も軟調に推移した。スマートコントラクトプラットフォーム全体でも3.6%下落し、ビットコインエコシステムは4.7%下落している。
DeFiセクターは1.3%上昇とわずかにプラスを維持したものの、パーペチュアルDEXは1.9%下落した。ミームコインは2.2%上昇と一定の資金流入が見られた。
今回のデータは、暗号資産市場において、プライバシー技術やデータインフラへの関心が高まる一方、NFTやステーキングサービスといった従来型のセクターからの資金流出が続いていることを示している。セクター間の格差は今後も拡大する可能性があり、投資家は各セクターの動向を注視する必要がある。




