ペイパルの加盟店ネットワークへの展開を視野に
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所の「Coinbase(コインベース)」は24日、決済大手「PayPal(ペイパル)」と提携し、ステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」の普及と利用促進に取り組むと発表した。
この提携により、コインベースは個人および法人ユーザーを対象に、PYUSDと米ドルの1対1での変換を手数料無料で提供。これにより、仮想通貨と法定通貨間のシームレスな資産移動が可能となる。
両社はこの取り組みを通じて、ステーブルコインを活用した迅速かつ低コストな決済手段の実現を目指す。コインベースは自身のカストディ(保管)・取引インフラを活用し、ペイパルの加盟店ネットワークにもPYUSDの導入を拡大。これにより、より効率的なブロックチェーン決済の社会実装を加速させるとしている。
さらに、PYUSDを活用したオンチェーンユースケースの共同開発も視野に入れており、単なる送金手段にとどまらない「デジタル金融ツール」としての展開が期待されている。
PYUSDは、米ドルに裏付けられたステーブルコインであり、価格の安定性と即時決済性を特徴とする。発行はペイパル傘下のPaxos Trust Companyが担っており、イーサリアムブロックチェーン上で稼働している。
コインベースによると、ステーブルコインの年間取引額は2023年に6.2兆ドル(約883兆円)、2024年には22兆ドル(約3,162兆円)に達すると予測されており、250%の成長が見込まれている。
コインベースはこの連携を通じて、より多くの消費者が仮想通貨を通じて経済的自由にアクセスできるようになることを目指すとしており、「信頼性の高い保管・流通・アクセス手段を提供することで、PYUSDの利用を世界規模で拡大させたい」とコメントしている。
ペイパルにとっても、ブロックチェーン技術を活用した新たな金融サービスの提供は、従来の電子決済モデルから一歩進んだ次世代の金融インフラ構築につながる。
今回の提携はステーブルコインの実用化と商業的普及の両立を可能にする重要なステップだ。信頼性の高い大手企業が連携することで、仮想通貨の利便性と安定性が現実の決済手段として受け入れられる可能性が高まる。PYUSDの普及が進めば、より多くの人々がブロックチェーン技術の恩恵を受ける時代が訪れるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.37円)