相次ぐIPO計画、仮想通貨企業の資本市場進出が加速
米ドルと連動するステーブルコイン「USDC(USD Coin)」の発行元である「Circle(サークル)」は1日、新規株式公開(IPO)に向けて米証券取引委員会(SEC)へS-1申請書を提出した。これによりサークルは上場準備を本格化させ、暗号資産(仮想通貨)市場での存在感を一層強めていく狙いだ。
3月31日、米経済紙「FORTUNE(フォーチュン)」はサークルがIPOに向けた動きを進めていると報じていた。報道では4月下旬にもIPO関連書類の提出を目指すとされていたが、早い段階での申請となったことで市場関係者の注目が集まっている。
今回提出された書類によると、IPOの主幹事は投資銀行「J.P. Morgan Chase& Co.(JPモルガン・チェース)」と「Citigroup Inc.(シティグループ)」が担当。ティッカーシンボルは「CRCL」となり、ニューヨーク証券取引所(NYSE)での上場が予定されている。発行予定株式数やIPO価格目標等については明記されていない。
一方、提出書類では投資家にとって重要になるサークルの財務情報が明かされている。同社の2024年における収益は約16億7,000万ドル(約2,500億円)を記録。2022年の約7億7,000万ドル(約1,150億円)、2023年の約14億5,000万ドル(約2,170億円)と比較すると、順調な成長を続けていることがわかる。

ただし、これら収益の大部分はステーブルコインの準備資産から得られたものであり、米国債などの利回りによる利益が主な収入源となっている。2024年末時点での準備資産からの収入は約16億6,000万ドル(約2,486億円)に達し、収益全体の99%超を占めた。
一方、流通および取引にかかるコストは年々増加傾向にある。こうした背景から、2024年の純利益は約1億5,567万ドル(約233億円)で、2023年の約2億6,756万ドル(約400億円)から減少が見られている。この傾向は、サークルが持続的な成長を遂げるために、収益の多角化や運営コストの最適化といった新たな戦略を模索する必要性を示唆している。
サークル以外の仮想通貨関連企業も、IPOを視野に入れた動きが活発化しつつある。仮想通貨取引所「Kraken(クラーケン)」や「Gemini(ジェミナイ)」なども近い将来の上場を目指した動きを見せている。バイデン政権下では仮想通貨の厳格な規制体制により、身動きが取れない企業も少なくなかった。だが、トランプ政権の誕生と仮想通貨の規制緩和促進の動きは、上場を目指す仮想通貨関連企業にとって強力な追い風になっている。
今回のサークルによるIPO申請の動きは仮想通貨業界のみならず、伝統的な金融市場にとっても大きな意味を持つはずだ。サークルやUSDCがどのように金融システムの中で位置付けられていくのかは、今後多くの仮想通貨投資家や各国の規制当局の関心を集めるテーマになるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.67円)