ビットコイン買い圧力5カ月ぶり復活──長期勢が異例の蓄積も、数週間で急変動か

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画像はCryptoQuantより引用
Highlights
  • ビットコインの現物市場で約5カ月ぶりに買い優勢へ転換、Spot Taker CVDが中立から買い手優勢に
  • 長期投資家のアキュムレーターアドレスが12月1日から10日で7万5,000 BTC超を蓄積、現在の保有量は31万5,000 BTCに到達
  • 暗号資産市場全体の未実現損失が3,500億ドル(約54兆円)に達し、グラスノードが数週間以内の高ボラティリティ相場を警告

ビットコインは日本時間11日早朝から急落したが、その後反転し、かろうじて陽線で引けた。しかし、オンチェーン上では、依然としてポジティブ・ネガティブが交錯しており、上値の重い展開が続いている。

Spot Taker CVD が約5カ月ぶりに買い手優勢へ

オンチェーンデータのSpot Taker CVD(累積出来高デルタ)が約5カ月ぶりに買い手優勢を示した。

ビットコインSpot Taker CVD(累積出来高デルタ)の90日間推移チャート。緑は買い優勢、赤は売り優勢を示す。2025年12月に約5カ月ぶりに買い優勢へ転換。出典:CryptoQuant
Spot Taker CVD 出典:CryptoQuant

累積出来高デルタとは、現物の市場買い量(テイカー買い)と売り量(テイカー売り)の90日間分の累積から相場の方向性を測る指標で、グリーンは買い優勢、レッドは売り優勢、グレーは中立状態を示す。

歴史的に、中立状態から買い手優勢に傾くと、その後上昇トレンド再開となるケースが頻繁に見られる。実際前回の調整局面でも、グラフが緑に変わったところから約2カ月間にわたり上昇トレンドが続いた。

直近では2週間程度中立を維持した後、3日間買い手優勢が続いており、現物市場のセンチメント改善がうかがえる。今後は先物市場への資金回帰がトレンド転換のカギとなるだろう。

アキュムレーターアドレスが弱気相場下でも買い増し継続

オンチェーン分析企業クリプトクオントの認定著者であるDarkfost氏は12日、自身のXにて「ビットコインのアキュムレーターアドレスが、弱気相場の中で蓄積を継続している」と指摘した。

アキュムレーターアドレスとは「ビットコインを売却せず、一貫して蓄積を継続する長期志向の大口アドレス」を指す。12月1日から10日にかけて、これらのアドレスが積み増したビットコインは7万5,000 BTC超、さらに12月9日から10日の24時間で4万BTCを買い増しするという異例の動きが確認された。

現在、アキュムレーターアドレスの総保有量は31万5,000 BTCに達しており、その増加トレンドは途切れる気配がない。大口投資家は市場のモメンタムが弱く、価格の乱高下が継続している局面にもかかわらず、動揺することなく押し目買いの好機として蓄積を加速している。

モメンタムが弱い中でも、長期アドレスが買い増しを拡大させている点は、ビットコインの市場構造にとってポジティブな変化と言えるだろう。

高ボラティリティ相場に警戒呼びかけ

一方、オンチェーン分析企業のグラスノードは12日、公式Xにて「数週間以内に大きなボラティリティが発生する可能性がある」と警鐘を鳴らした。

最新データによると、暗号資産(仮想通貨)エコシステム全体の未実現損失は約3,500億ドル(約54兆4,500億円)に達し、そのうちビットコインだけで約850億ドル(約13兆2,000億円)を占めている。これは投資家の多くが買値を下回る水準で保有を続けていることを示し、市場心理の悪化とともに売り圧力が高まりやすい環境が形成されつつある。

さらに、複数のオンチェーン指標も全般的な流動性の縮小を示唆していると指摘。一般的に、取引所への資金流入、ステーブルコイン供給量、ネットテイカーフローなどの資金動向指標が弱まると、市場センチメントに勢いのない状態が継続しやすい。

流動性供給が著しく低下した市場では、大口資金の動きひとつで価格が乱高下しやすくなる。特に未実現損失が膨らみ、投資家心理が不安定な局面では、ファンダメンタルズやヘッドラインをきっかけに、急落・急騰が起きる高ボラティリティ相場に突入しやすい。

このような状況を踏まえ、グラスノードは「今後も乱高下に警戒するように」と投資家に向けて呼びかけている。

ビットコインは、長期的な強気材料と短期的なボラティリティリスクの間で、引き続き不安定な値動きを続けている。心理的節目とされる9万3,500ドル以上での価格維持が確認されるまでは、まだまだ警戒が必要な局面だ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.59円)

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ブロックチェーン関連をメインに活動するウェブライター。家庭教師、高校教師を経て英会話スクールの運営に携わるが、2020年、コロナ禍をきっかけにライターに転身。これまでに十数件のメディア・仮想通貨系Youtubeチャンネルの運営に関わる。ファンダメンタル・テクニカル分析を得意とし、自身も仮想通貨トレードで資産運用中。特にブロックチェーンを活用した国際送金やトークン化事業(RWA)に強い関心を持つ。 保有資格:英検準1級
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