ブータン、仮想通貨に投資できる中央銀行を設置へ──国王が王令

ブータン、仮想通貨に投資できる中央銀行を設置へ──国王が王令
水澤 誉往
4 Min Read
Highlights
  • ブータン国王が1日に王令に署名、特別行政区GMCの金融当局をゲレフ中央銀行へ移行、暗号資産への投資権限も
  • 2日のGMCの発表は銘柄・上限・購入の予定に触れず、王令の本文は4日時点で法令一覧に未掲載
  • チェコ国立銀行のビットコインは外貨準備の外、米国の戦略準備は財務省の没収分が元手と、主体と位置づけに違い

ブータン王国の特別行政区Gelephu Mindfulness City(ゲレフ・マインドフルネス・シティ、GMC)は2日、ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王が1日に王令に署名し、域内の金融当局であるGelephu Financial Services Office(ゲレフ金融サービス局)をGelephu Central Bank(ゲレフ中央銀行)に移行させると発表した。ゲレフ中央銀行は、通常の準備資産と並べてデジタル資産や暗号資産(仮想通貨)に投資できるようになる。発表は、対象の銘柄や上限、実際に購入する予定を明らかにしていない。

ゲレフ中央銀行に金融政策と外貨準備の権限

発表によると、ゲレフ中央銀行は自律した中央銀行として、金融と物価の安定、金融システムへの信頼の強化、GMCの長期的な経済発展の支えを担う。金融政策を行い、GMCの外貨準備を運用し、金融の安定を監督する。

必要なときの流動性の供給、決済システムの整備と監督、中央銀行証券の発行、短期金融市場と資本市場の育成の支援も権限に含む。金融機関の免許・規制・監督は、ゲレフ中央銀行の金融監督部門が引き継ぐ。

暗号資産への投資について発表が書いているのは、「digital assets and cryptocurrencies」に通常の準備資産と並べて投資できる、という点だけだ。ビットコインBTCBTCなどの銘柄名、比率、購入の時期は記載がない。

JinaCoinの価格データによると、執筆時点(日本時間4日12時16分)で1BTC=1,202万2,718円だった。

王令の本文と、発表が「Charter」と呼ぶ文書の本文は、4日時点でGMCの法令一覧に掲載されていない。発表によると、この「Charter」は、GMCがデジタルの形も含めて独自の通貨を導入する道筋も定めている。導入には国王の同意が要る。

今回の発表は、ブータン全体の中央銀行であるブータン王国通貨庁(RMA)との役割分担には触れていない。

ゲレフ中央銀行は国内外で50を超える職の大規模な募集を始める。仮想資産の監督や、準備金の運用・外国為替・決済の担当も含まれる。

GMCとビットコイン、これまでの動き

GMCの土台となる2024年2月10日付の王の憲章(Royal Charter)は、4条1項で、GMCを統治する当局が「a central bank for the GMC」を含む行政・規制機関を設けると定めている。

同じ憲章の5条2項fは、当局がデジタル資産、商品、貴金属などあらゆる資産を扱えるとする当局の権限の条文だ。今回の発表は、2024年の憲章に言及していない。

GMCは2025年1月、ビットコイン、イーサリアムETHETH、BNBBNBBNBを戦略的準備金に組み入れる方針を示していた。今回の発表は、その準備金と中央銀行の権限の関係を説明していない。

GMCの公式サイトのビットコインの誓約のページは、余った水力発電で採掘したビットコインを、GMCの成長を通じて国の長期的な発展に役立てると説明し、投機の対象として保有するのではないとしている。

ブータン国王は2025年12月、最大1万BTCをGMCの開発に充てると表明した。1万BTCは、執筆時点の価格で約1,202億円にあたる。誓約のビットコインと中央銀行の関係について、今回の発表に記載はない。

中央銀行と暗号資産、チェコや米国の例

中央銀行がビットコインを持った例には、チェコ国立銀行のビットコイン購入がある。同行は2025年11月13日、ビットコイン、米ドル連動のステーブルコイン、トークン化した米ドル預金からなる試験用のポートフォリオを公表した。取得額は計100万ドル(約1億5,763万円)で、資産の約0.0006%にあたる。

チェコ国立銀行は、このポートフォリオを外貨準備に含めず、会計上は無形資産として扱う。2〜3年後に評価し、それまでは規模を増やさないとしている。

米国の戦略ビットコイン準備は、2025年3月6日の大統領令で設けられた。元手は、刑事・民事の没収手続きを経て財務省が保有するビットコインで、ほかの省庁も保有分を移す法的な権限があるか確かめる。ファクトシートは中央銀行に触れていない。

項目ゲレフ中央銀行(ブータン・GMC)チェコ国立銀行米国の戦略ビットコイン準備
決まったこと暗号資産への投資権限(2026年11月1日の王令)ビットコインなどを試験的に保有(2025年11月公表)準備の設置(2025年3月の大統領令)
持つ主体中央銀行中央銀行記載なし(元手は財務省が保有する没収分)
外貨準備との関係通常の準備資産と並べて投資できる(外貨準備に含めるかは記載なし)外貨準備に含めないビットコインを準備資産として扱う(外貨準備との関係は記載なし)
規模・銘柄示していない取得額計100万ドル(約1億5,763万円。ビットコイン、ステーブルコイン、トークン化預金)没収したビットコイン。売却しない
GMCの発表(11月2日)、チェコ国立銀行のブログ(2025年11月13日)、ホワイトハウスのファクトシート(2025年3月6日)をもとに作成(いずれも4日確認)

ファクトシートによると、準備に入れたビットコインは売却しない。財務長官と商務長官には、納税者に追加の負担をかけない方法に限って、ビットコインを追加で取得する策をつくる権限が与えられた。

関連:ブータン新特別行政区、仮想通貨を戦略的準備金として採用へ
関連:ブータン、仮想通貨企業の誘致を加速──法人税0%・銀行口座を即時開設
関連:チェコ国立銀行、ビットコイン購入──中央銀行として世界初の事例

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.63円)

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

JinaCoinメルマガ開始
Share This Article
Follow:
株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA