人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」を運営するYuga Labs(ユガ・ラボ)は7日、アーティストのライダー・リップス氏とジェレミー・カヘン氏を相手取った商標権侵害訴訟で和解に達したことを、カリフォルニア中部地区連邦地裁に通知した。2022年6月の提訴から約4年、NFT業界で最も注目された知財訴訟が裁判を経ずに決着した。
「風刺」か「模倣品」か──4年に及んだ法廷闘争の経緯
事の発端は2022年にさかのぼる。リップス氏はBAYCのデザインに問題があると主張し、BAYCと同じ画像を使ったNFTコレクション「RR/BAYC」を「風刺・抗議」として販売した。1万点のNFTはBAYCより安い価格で出品され、約160万ドルを売り上げた。Yuga Labsはこれらの主張を一貫して否定している。
ユガ・ラボはこれを「消費者を混乱させる模倣品」として提訴。商標権侵害、虚偽表示、サイバースクワッティング(ドメインの不正取得)などを主張した。
2023年4月、連邦地裁はユガ・ラボ側に有利な略式判決を下し、リップス氏らに約880万ドル(損害賠償・弁護士費用等)の支払いを命じた。しかし2025年7月、第9巡回控訴裁判所がこの判決を覆す。控訴裁は「NFTは商標法の対象となる商品である」と認めつつも、「RR/BAYCが消費者に混同を生じさせたかを地裁が十分に立証できていない」として差し戻しを命じた。
裁判所に提出された和解通知によると、両当事者はすべての請求を解決する合意に達した。和解金額は公開されていない。今後、リップス氏らによるユガ・ラボの画像・商標の使用を禁じる差止命令が裁判所に提出される予定だ。
この訴訟はNFTの知的財産保護において複数の先例を残した。「NFTは商標法上の『商品』にあたる」との控訴裁判決は、デジタル資産の法的地位を確立する上で重要な判断とされる。同時期に進行したエルメス対MetaBirkins訴訟と並び、NFTと商標権の関係を巡る法的枠組みの形成に寄与した。




