インパーマネントロス解消を目指すプロジェクト
DeFi(分散型金融)プラットフォーム「Curve Finance(カーブファイナンス)」創設者マイケル・エゴロフ氏が、新たなDeFiプロジェクト「Yield Basis(イールドベーシス)」を立ち上げ、トークン評価額5,000万ドルで500万ドルの資金調達を完了したことが明らかになった。暗号資産(仮想通貨)メディア「The Block(ザブロック)」が18日、入手した企画資料をもとに報じた。
イールドベーシスは、トークン化されたビットコインおよびイーサリアムの保有者を対象に、インパーマネントロス(IL)のリスクを軽減し、持続的かつ収益性の高い流動性提供を実現することを目的としている。インパーマネントロスとは、提供した流動性の価値が市場の価格変動によって本来の価値よりも低くなり、流動性を引き出す際に損失が発生する現象を指す。同プロトコルは、この課題を解決するためにカーブファイナンスの分散型ステーブルコイン「crvUSD」を活用し、2倍のレバレッジをかけた流動性提供を可能にしている。
また、crvUSDの借入やリバランスなどに伴うコストを抑えるため、カーブファイナンスが提供する「CryptoSwap AMM」を活用。取引が最も活発なプールに流動性を集中させる仕組みも導入している。これにより、流動性提供者の取引手数料収益を最大化しつつ、インパーマネントロスのリスクを低減することを狙っている。
エゴロフ氏によると、イールドベーシスは「test-in-production」フェーズにあり、流動性プールを用いたテストと監査が進められている段階とのことだ。トークンを含む本格的なシステム展開にはさらに時間を要するとし、メインネットリリースまでの間、新たなアップデートの発表は行わない方針を示している。
トークンラウンドでの資金調達は15倍の応募超過
今回、イールドベーシスは完全希薄化後の評価額5,000万ドルのもと、トークンラウンドを通じて500万ドルを調達。このラウンドでは、独自トークン「YB」の総供給量10億枚のうち、10%にあたる1億枚が投資家向けに販売された。販売されたYBは、6ヶ月間のクリフ期間(ロックアップ期間)の後、2年間の線形ベスティングを経て徐々に解放される仕組みとなっている。
情報筋によれば、同プロジェクトは今年1月から資金調達プロセスを開始し、わずか2週間で調達を完了したという。また、投資家からの関心は極めて高く、当初の募集額の15倍もの応募が寄せられ、大きな反響を呼んだことも明らかになった。
エゴロフ氏はこれまでカーブファイナンスを通じ、DeFi市場に革新をもたらしてきた。今回のイールドベーシスの発表により、流動性提供の新たなモデルが確立される可能性がある。DeFi市場の成長とともに、イールドベーシスがどのように発展していくのか、今後の動向に注目したい。
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