World(ワールド、旧ワールドコイン)は米国時間18日、銀行や金融機関向けにWorld IDをまとめたサービスの提供を始めた。ラスベガスで開かれた金融イベントMoney20/20で、共同創業者のアレックス・ブラニア氏が発表した。取引や送金をするのがAIではなく実在の人間かを、暗号技術による証明で確かめる。
World ID、銀行の送金承認やアカウント復旧に
サービスは、本人確認アプリ、AIエージェント向けの機能、Zoom連携の3つで構成する。設計パートナーとして、ベインキャピタル、OpenExchange、Outtake、パンテラ・キャピタル、ヴァンエック・ファンズの5社が技術を使っている。
アプリでは3種類の証明を使い分ける。顔と目を撮影する専用端末Orb(オーブ)で一度だけ登録する人間であることの証明、スマートフォンでその場にいることを確かめる証明、公的な身分証から国籍や一定の年齢以上であることなど、求められた項目だけを示す証明だ。
Orbはニューヨーク証券取引所(NYSE)にも置かれている。
同社によると、金融機関は書類を集めたり個人情報を保管したりせずに、顧客が実在の人間かを確かめられる。支店への来店、多額の送金、口座開設といった場面を想定し、ACH(米国の銀行間の電子決済網)や電信送金の承認、乗っ取りを防ぐためのアカウント復旧にも使えるという。
試験提供中の開発者向けツールAgentKitを使えば、利用者は特定の証明をAIエージェントに預けられる。エージェントは個人情報を明かさずに、実在の人間の依頼で動いていることを示しながら取引できる。
発表文は、米国のAIを使った詐欺の被害額が2027年に400億ドル(約6兆3,248億円)に達する可能性があるとのデロイトの予測を引いた。2023年の推計は123億ドル(約1兆9,449億円)だった。
World IDのZoom連携、企業向けに一般提供
今年先行公開していたZoomとの連携機能も、Zoomのアプリマーケットプレイスを通じて世界の企業顧客に提供を始めた。
参加者は、Orbで登録した証明をZoomのアカウントにつなぎ、会議中に求められると、スマートフォンのアプリで自撮りをする。Orbでの登録時に暗号技術で署名された画像、自撮り、会議の映像の3つが一致すると、参加者の映像の枠に、全員から見えるヒューマンバッジが付く。
照合するのは映像だけで、音声や文字起こしは使わない。
映像を解析して偽物かどうかを推定する一般的なディープフェイク検知とは異なる、と同社は説明する。Worldの初期開発を主導したツールズ・フォー・ヒューマニティはZoomのパートナー制度に加わり、Zoomの企業顧客は自社のオフィスにOrbを置けるようになった。
日本ではTinderが連携、WLDは国内の登録一覧に記載なし
日本でも、マッチングアプリのTinderでWorld IDと連携すると、実在する人間であることを示すヒューマンバッジをプロフィールに表示できる。ツールズ・フォー・ヒューマニティは9月17日、Tinderと共催するランニングイベントを9月〜12月に東京・代々木公園で開くと発表した。
同社は4月20日、東京大学の松尾・岩澤研究室が、Worldの匿名化マルチパーティ計算(AMPC)のネットワークで、独立したノードの運用を担うと発表している。
一方、関連する暗号資産(仮想通貨)WLD
WLDについて、金融庁の暗号資産交換業者登録一覧(9月30日現在)をJinaCoinが集計したところ、取り扱う業者として記載されている業者はなかった。
JinaCoinの価格データによると、執筆時点(日本時間19日20時24分)で1WLD=0.50ドル(約79円)だった。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.12円)
