今週の仮想通貨市場は非常に軟調な地合い。仮想通貨市場にとってはポジティブなニュースも散見されるが、マクロ経済に対する懸念がリスク市場全体に重圧をかけている。
ビットコインは週足サポートをめぐる攻防に終始
今週ビットコインは、直近で重視されていた10万6,000ドル付近のサポートを日本時間4日午後にブレイクすると、一時は9万8,000ドル台にまで急落。

その後は10万ドル付近の週足サポートラインをめぐる攻防に終始。7日夜に再び下値を試す展開となったが、サポートラインにタッチ後急反発。その後、10万5,000ドルのレジスタンスにトライしたが、大きな好材料もなく燃料不足により反落した。
金曜日の米株(S&P500)の小幅反発、サポートラインを意識した買い圧力などがビットコイン上昇の要因として挙げられるが、レジスタンスをブレイクするには材料不足感が否めない。
特に米政府閉鎖の長期化により、仮想通貨関連法案やETFの承認の延期、航空便の相次ぐ欠航など、弊害が表面化していることが、マクロ経済全体に重圧をかけている。
仮想通貨市場のセンチメントは中立に戻りつつあるが、いつ週足サポートの10万ドル付近を下抜けてもおかしくない位置にいるため、まだまだ油断は禁物だ。
BTCドミナンス低下も資金はZECに集中
主要アルトコインもビットコインの上昇につられ、全体的に小幅反発。

イーサリアムをはじめとした主要銘柄は、今回の反発で形成されたダブルボトムのネックライン3,450ドル付近を試す展開だ。このラインをブレイクできれば、短期的な市場センチメントの回復に期待できる。
また、ビットコインドミナンスが6日から8日にかけ急激に低下。

約1カ月にわたりドミナンス上昇を支えてきたトレンドラインに接近しており、ここを明確に下抜ければアルトコインへの資金回帰が加速する可能性がある。
ただ、通常ドミナンスの急激な低下が確認された場合、主要アルトコインも急騰するケースが多かったが、今回はそこまで大きな変化は見られない。
ほとんどの資金はプライバシー保護をテーマにした「Zcash(ジーキャッシュ)」の独自トークンZECやDASHに向かっているようだ。
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連日最高値を更新し、市場から大きな注目を浴びていたZECだが、7日から8日にかけてさらに急伸し、約50%の上昇を記録。一時は時価総額でHyperliquid(ハイパーリキッド)の独自トークンHYPEを上回った。
ただ、さすがに約1カ月間ほぼ右肩上がりの上昇を続けたため、いつ大きな調整が起きてもおかしくない局面だ。
仮想通貨市場にはポジティブなニュースも
今週は仮想通貨市場にとって、ポジティブなニュースが続出している。
米金融大手JPモルガンは現在の弱気相場の中で、ブラックロックが発行するビットコインETFの蓄積を進め、保有数が5,284,190株、3億4,300万ドル相当に。
また、日本の金融庁が7日、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3大メガバンクによるステーブルコインの共同発行実証実験を支援すると発表。
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同日には、オンライン証券プラットフォームのロビンフッドが、ビットコイン財務戦略の導入を検討中と表明。
このように仮想通貨市場にとってはポジティブなニュースが多いため、マクロ環境さえ好転すれば、再び強気相場に回帰できる環境は整っている。
来週の相場は米政府閉鎖の動向次第か
来週は、本来なら米消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、10月小売売上高など、重要な指標の発表が行われる予定だが、米政府閉鎖が継続する場合は延期が濃厚。そうなれば引き続き方向感の乏しい展開が続く見通しだ。
逆に政府閉鎖が解除されれば、これまで延期されていた各指標の発表、停滞していた仮想通貨関連法案の協議再開などにより、相場が大きく変動する可能性がある。どちらにしろ、今後の展開は米政府の動向に大きく左右されそうだ。
今週はビットコインの価格が週足サポートの10万ドル付近に迫ったことで、終始相場は緊張感に包まれた。現在はやや落ち着きを見せているが、強気相場にはまだほど遠い状況。再び下値を試す展開も考えられるので注意が必要だ。米政府閉鎖が正式に解除されるまで、常に急落リスクに備えておこう。




