70万件のKYC違反、韓国の仮想通貨市場に激震
韓国の金融当局が、韓国最大の暗号資産(仮想資産)取引所「Upbit(アップビット)」に対し、1月9日付けで営業停止処分を事前通知していたことが16日、明らかになった。これは、顧客確認制度(KYC)違反などの資金洗浄防止義務不履行の疑いによるものである。
毎日経済(매일경제)によると、韓国金融委員会傘下の金融情報分析院(FIU)は、アップビットに対して特定金融取引情報法違反に基づく営業停止を含む制裁内容を通知。この制裁が確定した場合、アップビットは最長3カ月間、新規顧客を対象とした営業が制限される。一方、既存の顧客については引き続き取引が可能だが、新規顧客による取引所外部への仮想通貨移転が制限される。
アップビットは16日、FIUに意見書を提出する期限である1月20日を前に、制裁内容について対応を進めている。FIUは同社の主張を聴取した上で、1月21日に制裁審議会を開き、最終的な営業停止期間や制裁措置を決定する予定だ。
事業者免許更新の審査中に判明
FIUは昨年8月末から、アップビットの事業者免許更新申請に伴う現場検査を実施。その結果、KYCの不履行が疑われる約70万件の事例を発見したとされる。KYCは、顧客の身元確認を通じてマネーロンダリングやテロ資金調達を防止するための重要な手続きである。
アップビットは昨年10月に事業許可の更新期限を迎え、現在審査中である。同社の関係者は、FIUが指摘する未登録の海外取引所との取引について、「ブロックチェーン技術の特性上、取引相手が未登録事業者であることを事前に把握するのは困難で、意図的な違反ではない」と説明している。
仮想通貨業界への影響
アップビットは韓国の仮想通貨取引市場の約70%以上のシェアを占める大手であり、今回の制裁は業界全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、仮想通貨利用者保護法が施行された昨年7月以降、仮想通貨取引所への規制が強化される中での今回の措置は、金融当局が不法・不公正な市場秩序を正そうとする強い意思を示すものとみられる。
また、特定金融取引情報法に基づき、顧客確認義務違反1件につき最大1億ウォン(約1,065万円)の過怠金が課される可能性も指摘されている。営業停止期間に加え、過怠金の規模も注目されるポイントだ。
アップビットへの営業停止処分の事前通知は、仮想通貨業界における規制強化を象徴する動きだ。今回の措置は他の取引所にとっても警鐘となり、市場全体の透明性向上が求められる。今後の制裁結果と業界全体への影響に注目が集まる。
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このような規制はやっぱり必要ですよね!日本の金融庁もしっかりとした制度作りをしてほしいです。@cycoo_22