暗号資産(仮想通貨)投資企業「Canary Capital(カナリー・キャピタル)」は26日、米証券取引委員会(SEC)に対し、ドナルド・トランプ米大統領の公式ミームコイン「トランプコイン(TRUMP)」の価格を追跡する現物ETF(上場投資信託)「Canary Trump Coin ETF」を申請したことが明らかになった。
承認期待高まるも、先物市場の実績不足が課題か?
今回申請されたETFは、投資家がトランプコインを直接購入・保有することなく、従来の証券口座を通じて間接的に投資できる仕組みを提供する。従来の金融システムを利用することで投資家保護はもちろん、これまでミームコインに馴染みのなかった機関投資家の参入が容易になることが期待されている。
今年に入ってからは、「ETF Opportunities Trust(ETFオポチュニティーズ・トラスト)」や「Osprey Management(オスプレイ・マネジメント)」などもトランプコインを対象にしたETF申請を進めている。2月にはSECの企業財務部門が「ミームコインは証券ではない」との見解を示したことで、ミームコインのETF申請に向けた動きが加速している状況だ。
ただし、今回の申請が承認されるかどうかは不透明だ。「Bloomberg(ブルームバーグ)」のETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏は「ETFの上場には少なくとも6か月間の先物取引実績が必要」と指摘。現状、トランプコインは先物市場での取引実績が浅く、承認へのハードルは高いとの見解を示した。
一方で、1940年投資会社法に基づく申請であれば、承認の可能性が残されているとも同氏は付け加えている。規制された取引所が提供する先物契約へ投資を行う「先物ETF」であれば、先物市場が未成熟のトランプコインでもETF承認の道が開けるとの考えのようだ。
トランプコインは執筆現在、8.38ドルと前日比-0.71%で小幅な下落を見せている。5月以降の下落トレンドから抜け出せず、市場には依然として弱気ムードが漂っている状況だ。しかし、今後ETF申請に何らかの進展があれば、投資家心理の改善や価格上昇につながる可能性がある。

ミームコイン市場は依然として高いボラティリティを抱えるが、ETFの登場はその地位を金融市場で確立する第一歩となるかもしれない。特にトランプコインは、その重要な一歩を担う先駆者として期待感が高まりつつある。今後のSECの判断に仮想通貨業界全体からの注目が集まりそうだ。
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