CZ氏、取引協議を否定しWSJ報道を強く批判
米国の「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は13日、ドナルド・トランプ米大統領の一族が暗号資産(仮想通貨)取引所「Binance(バイナンス)」の米国法人「Binance.US(バイナンスUS)」の株式取得について協議したと報じた。一方、バイナンスの元CEOチャンポン・ジャオ(CZ)氏は、この報道内容について一部否定している。
報道によると、トランプ一族は仮想通貨プロジェクト「World Liberty Financial(ワールド・リバティ・ファイナンシャル)」を通じたバイナンスUSの株式取得について協議していた可能性があるという。また、WSJはバイナンス側が昨年、米国市場への復帰を目指し、トランプ陣営に接触を試みて取引の可能性を探っていたことも伝えている。
さらに、WSJはCZ氏がトランプ大統領に対し恩赦を求めたと報じたが、CZ氏はこれを否定し、「罪に問われた者なら誰でも恩赦を望む」と述べつつも、実際にトランプ大統領に対して恩赦を求めたかどうかについては明言を避けた。また、「バイナンスUSの取引について誰とも話し合ったことはない」と述べ、WSJの報道には事実誤認があると指摘した。
加えて、CZ氏は「今回の報道にはトランプ大統領や仮想通貨業界を攻撃する意図がある」と非難。バイデン政権下での規制強化が続いていると強調した。
バイナンスUSはここ数年、米国の規制強化の流れから厳しい状況に立たされてきた。SEC(米証券取引委員会)はバイナンスUSを「詐欺の温床」と非難し、その訴訟を受けて顧客離れが加速。バイデン政権下では、米ドル入出金サービスが一時停止されるなどの規制措置が取られた。なお、バイナンスUSは2025年2月より、米ドルの入出金サービスを再開させている。
トランプ一族によるバイナンスUSの株式取得が実現するかは、今後の仮想通貨業界の注目トピックと言える。これからのトランプ一族の動向やCZ氏の対応が、業界に大きなインパクトを与える可能性が考えられるだろう。
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