米上場企業サムズアップ、資金調達枠を5億ドルに拡大──ビットコイン活用を加速

JinaCoin編集部
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TikTok統合で広告リーチ拡大を狙う

米ナスダック上場のSNSマーケティング企業「Thumzup Media Corporation(サムズアップ・メディア・コーポレーション)」は6日、米証券取引委員会(SEC)に提出している登録届出書「Form S-3」の修正を申請したと発表した。申請が承認されれば、資金調達上限は従来の2億ドルから5億ドルへと大幅に引き上げられることになる。

同社によると、今回の「ユニバーサル・シェルフ登録」の拡大により、普通株式や優先株式、社債、ワラントなど複数の形式で柔軟に資金を調達できるようになる。ユニバーサル・シェルフ登録とは、証券の発行枠をあらかじめ登録しておくことで、市場環境や資金ニーズに応じて、タイミングを選んで柔軟に発行できる仕組みだ。現時点で実際の発行や販売は決まっておらず、今後の状況に応じて個別に発表される見通しだ。

今回の申請に際し、サムズアップは調達資金の用途として「事業運営資金の確保」に加え、ビットコインを活用した財務戦略の強化を明示している。背景には、ドルの購買力低下や金融市場の不安定さへの備えとして、デジタル資産への分散投資を進める意図があるとみられる。

同社の取締役会はすでに、流動資産の最大90%をビットコインで保有可能とする方針を承認済みであり、暗号資産(仮想通貨)を中核とする財務方針は継続的な投資を見据えたものだ。

実際、同社は2025年1月時点で9.783 BTC(約94万ドル相当)を取得しており、5月5日時点の保有量は19.106 BTC(約184万ドル相当)に増加。保有資産は、「Coinbase(コインベース)」の機関投資家向けサービス「Coinbase Prime(コインベースプライム)」を通じて管理されている。

なお、サムズアップは自社の広告プラットフォームの拡張にも積極的で、2024年12月にはSNS大手TikTokとの統合計画を発表している。これにより、同社の広告到達範囲は15億人以上のTikTokユーザーに広がる可能性があるとされている。あわせて、ユーザー参加型広告モデルをTikTok上でも展開し、広告主に対する訴求力と収益モデルの拡張を狙っていると推察される。

資産の一部ではなく、企業戦略の中核にビットコインを据える姿勢は、従来の財務常識とは一線を画す。価格変動の大きさをリスクと見るか、それとも注目を集める仕掛けと捉えるか。サムズアップは今、財務戦略と広告事業の両面で、その境界線を自ら押し広げようとしている。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1 BTC=96,735ドル)

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