ステーブルコイン最大手テザー(USDT)は24日、世界4大監査法人(ビッグ4)の1社と正式に契約し、同社初となる「完全な独立財務諸表監査」を実施すると発表した。暗号資産(仮想通貨)と伝統的資産が入り交じる複雑な構成を対象とした、金融史でも最大規模の初回監査となる。
業界2位の2倍の規模を誇る最大手ステーブルコインが、長年の不透明感払拭に動く
同社が発行する「USDT」は24日の時点で約1,840億ドル(約29兆円)の時価総額を記録し、競合であるサークル社の「USDC」の2倍以上の規模を誇る。暗号資産業界で最大シェアを持つステーブルコインとして、その動向は市場全体に大きな影響を与える。
今回契約を結んだ監査法人の具体的な名称は明らかにされていない。いわゆる「ビッグ4」には、デロイト、PwC、EY、KPMGが含まれる。サイモン・マクウィリアムズCFOによると、監査法人は競争入札プロセスを経て選定されたという。
テザー社は長年にわたり、USDTの裏付け資産が十分に確保されているのかについて、市場から厳しい視線を向けられてきた。これまで同社は、特定の日付時点の準備金残高を確認する「アテステーション(証明)」を公表してきたが、完全な監査には至っていなかった。
特定の一時点を切り取るアテステーションに対し、完全監査は一定期間の企業活動を網羅的に調べる厳格なプロセスだ。この監査が実施されることで、同社の資産や負債、内部統制の状況など、経営の実態がより詳細かつ継続的に市場へ開示されることになる。
同社はUSDTの安定性を支えるため、利益を社内に留保し資金基盤を維持してきた。今後は準備金構成の最適化の一環として、数日中に保有する上場証券の移動も予定している。完全監査の進行により、これらの運用実態が完全に可視化される見通しだ。
テザー社が完全監査に踏み切った背景には、世界的に進むステーブルコイン規制への布石がある。各国の規制当局が裏付け資産の透明性を厳しく求める中、ビッグ4による証明を得ることで、グローバルな規制対応において優位に立つ狙いがある。業界の法整備に向けた重要な一歩と評価できる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.7円)




