台湾の金融監督委員会(FSC)の彭金隆委員長は3日、台湾で初となるステーブルコインの発行が、早ければ2026年後半になる見通しを明らかにした。
仮想資産サービス法の成立が発行の前提に
彭委員長は立法院(国会に相当)の公聴会で、ステーブルコインの法的根拠となる「仮想資産サービス法」案について言及した。同法案にはステーブルコインの発行に関するルールが含まれており、順調に進めば、現在の会期で議題に載せられ、次の会期で可決される見込みだと述べた。
法案成立後、金融監督委員会が関連する下位規則を策定・発表し、さらに6カ月の猶予期間を経て施行される。こうしたスケジュールを踏まえると、ステーブルコインが市場に登場するのは2026年の後半以降になる見通しだ。
同法案は内閣での審査を今週中に控えており、彭委員長はこれまでの3回の会議で「高いレベルの合意」が得られていると説明しており、法整備が着実に進んでいるとうかがえる。
今回提出された法案は、EUで導入されたMiCA(暗号資産市場規制)を参考に策定されている。MiCAは、暗号資産(仮想通貨)市場の透明性確保や消費者保護を目的とした包括的な規制であり、台湾も同法を参考に規制の枠組みを策定している。
同法案は、ステーブルコインの発行主体を必ずしも金融機関に限定する内容ではない。ただし、彭委員長はリスク管理の観点から、当面は金融機関のみに発行を認める方針で、金融監督委員会と中央銀行が合意しているという。
今回の「仮想資産サービス法」の制定は、台湾のステーブルコイン発行に向けて、より明確な規制環境を整備する大きな一歩となるだろう。
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