セイラー氏のストラテジー、主要株価指数から除外の危機

ヤマダケイスケ
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Highlights
  • 米ストラテジー、MSCI USAやNASDAQ100などの主要な株価指数からの除外リスクに直面
  • MSCIによるデジタル資産比率の高い企業を指数採用対象外の投資ファンドと同等に扱う方針検討が背景に
  • 株価の急落により同社の付加価値は喪失、mNAVは1.1強まで低下して企業評価の脆弱性が浮き彫りに

ビットコイン(BTC)推進派として知られるマイケル・セイラー氏が率いる米企業「Strategy(ストラテジー、旧マイクロストラテジー)」が、暗号資産(仮想通貨)市場の低迷により、主要な株価指数から除外される危機に瀕していることが明らかになった。ブルームバーグが21日に報じた。

背景にMSCIの新方針、指数除外の判断は1月15日

報道によると、JPモルガン・チェースのアナリストが今週に発表したレポートで、ストラテジーが「MSCI USA」や「NASDAQ100」といったベンチマーク指数から除外される可能性を強く警告しているという。

仮にMSCIが除外に踏み切れば、同社に連動するパッシブファンドなどから最大28億ドル(約4,400億円)が流出する可能性を示唆。他企業がこの流れに追随すれば、流出規模は数十億ドルにまで拡大するとしている。MSCIの指数除外判断は1月15日までに下される見込みであり、市場参加者の間で警戒感が強まっている。

指数除外が現実味を帯びている背景には、MSCIが「デジタル資産の保有割合が総資産の50%を占める企業」を指数採用対象外の投資ファンドと同様の扱いとする方針を検討している点がある。JPモルガン・チェースのアナリストは、除外の影響はアクティブ運用者にとって限定的としつつも、企業の流動性低下や資金調達の困難化につながる点を懸念している。

ストラテジーはこれまで「株式発行・ビットコイン購入・株価高騰」といったフライホイールで急成長を遂げてきたが、この仕組みの崩壊も報道内で示されている。ビットコイン価格が10月の高値から30%以上下落したことでこの循環が機能しにくくなり、これに伴い同社の株価も昨年11月の最高値から60%以上下落した。

株価急落を背景に、これまで存在していたプレミアムはほぼ消滅。現在の企業価値は保有暗号資産をわずかに上回る水準まで縮小している。企業価値とビットコイン保有額の比率である「mNAV」は1.1倍強まで低下しており、投資家の信頼低下が鮮明であることが示されている。

報道によれば、資金調達環境の悪化はすでに表面化しているという。3月に発行された優先株の利回りは10.5%から11.5%へと上昇し、同社へのリスク評価の高まりが示された。また、今月初めに発行されたユーロ建ての優先株は、割引価格での募集にもかかわらず、発行から2週間以内に市場価格を下回ったことも強調している。

ストラテジーの事業モデルはビットコイン価格に強く依存しているため、市場環境の変化は企業評価に直接影響しやすい。市場回復の兆しが見えない中、同社や推進するビットコイン財務戦略は今、岐路に立たされている。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.1円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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