東証スタンダード上場のエス・サイエンス(証券コード:5721)は1日、ビットコインの投資枠を従来の5億円から96億円に大幅拡大すると発表した。元「青汁王子」三崎優太氏が事業開発担当室長として参画し、同氏の発信力とブランド力を活用した暗号資産(仮想通貨)事業の本格展開を目指す。
三崎優太氏が筆頭株主として事業をリード
同社は今年春に仮想通貨事業への参入を発表後、三崎優太氏が日本人筆頭株主として参画。8月30日の動画発表によると、三崎氏は香港のヘッジファンド「ロングコリドー」やマレーシアのファンドから高い評価を受け、6億円分の新株予約権を引き受ける形で筆頭オーナーに就任した。
三崎氏は当初、メタプラネットの資金調達を手がけた公認会計士の能勢氏の関与を機に同社株を購入。その後アドバイザー就任を受諾したが、インサイダー取引の疑念を避けるため株価上昇前に一度全株を売却した経緯がある。海外ファンドが三崎氏の手腕と影響力を評価し、筆頭オーナーとしての参画を要請したことで、現在の体制が実現した。
関連:元「青汁王子」、エス・サイエンスに6億円出資|日本人筆頭株主に
資金調達力と発信力の両輪でシナジー創出
8月18日に実施された資金調達では、第8回新株予約権(行使価額修正条項付)、第9回新株予約権(行使価額修正選択権付き)の発行に加え、第1回無担保普通社債(私募債)を同時発行。財務パートナーのロングコリドーとの協業により、強固な資金基盤と国際的な金融ネットワークを確立した。
同社は適時開示で「この『資金力』と『発信力』の両輪によるシナジーを最大限に活かし、仮想通貨投資事業をはじめとする新たな成長戦略を力強く推進する」と表明。三崎氏の発信力とブランド力により「国内外の投資家に広く浸透し、認知度と期待感を高めることが可能」としている。
今回の投資枠拡大により、同社は今後1年間で96億円のビットコイン保有を計画。三崎氏は動画で「これはファーストステップ」と位置づけ、将来的にはさらなる仮想通貨投資拡大を目指すとしている。
従来の金属事業から仮想通貨事業への転換を図るエス・サイエンスにとって、三崎氏の参画と大規模な投資枠設定は、事業変革の重要な節目となりそうだ。